シルバーセカンド開発日誌
ウディタ 7/7
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2021-02-20 (土) ウディタ修正Ver2.253へ+片道勇者修正 ▼ 【ウディタ修正Ver2.253へ+片道勇者修正】 前回の日誌から何をやっていたかというと、 Windowsアップデートで起きた問題に対応すべくウディタを最新版にしてみたら 今度は他の環境依存クラッシュバグが発生してしまったので その調査でヒイヒイ言ってました。 もちろんウディタに問題が起きたということは ついでに『片道勇者』も直さなくちゃいけなくなってワーキャーしてました。 といいますか、今も現在進行形でワーキャーしてます。 まだウディタにも片道勇者側にも問題があるようですので検証を続けています。 気付けばもう1ヶ月くらいサポート作業しかやってない気がします。 さすがに何もできないと飢える一方なので早くケリを付けたい!【Steam版 片道勇者の重要な修正お知らせ】 2/16のアップデートによって、一部環境で起動時に 「Cannot locale basic info data ~~」と出てプレイできなくなっていましたが、 奇跡的に再現可能な環境の人が見つかり、2/19に修正することができました。 その間遊ぶことができなかった皆さまにはご心配とご迷惑をおかけしてしまい、 誠に申し訳ございませんでした。 ただこの問題、8~9割くらいの人は正常に起動できてしまっているので 一体どういう条件で起きるかが謎のままでした。 一つ前に起きたクラッシュバグもそういうのでしたし、 こんな環境依存バグばっかりでもう泣きたーい! なお、まだ一部の環境でフリーズするなど不安定らしいので、引き続き調査を続行中です。 「環境依存バグ」ってRPGで言うと裏ボス級なんですがドンドコ出すぎです。 年に2件くらいでいいのよ……。【サイト公開版の片道勇者、無印もプラスも近々新版へ移り変わります】 Windowsアップデートによる修正は『片道勇者』にも影響します。 これはWindowsアップデートによって、Game.exeごと更新しないと どうにもならないバグが発生したためです。 なので片道勇者&プラスの「サイト公開版」は近いうちに、 これまでのバージョンの「オンライン更新」が一旦打ち切りになり、 【フリーの無印版なら新しいVectorのデータ】を、 【プラス版なら製品版データ】をDLし直さないと 次のオンラインアップデートができない状態になります。 そのときになればトップ画面に「このバージョンはオンライン更新を打ち切ったので、 次以降のオンラインアップデートを行いたい場合は Vectorから(または製品版データを)最新版をDLし直してください」 と表示する予定ですので、今この瞬間はお気になさらずとも大丈夫です! なお、昔のバージョンでも普通に遊べている人は、 アップデートしなくてもそんなに問題は起きないと思います。 Steam版は自動で更新されるので心配は無用です。 そんなわけでみなさまにはご迷惑をおかけしておりますが、 ウディタも片道勇者も引き続きよろしくお願いします!
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2021-02-06 (土) ウディタVer 2.251 キーボード入力バグ緊急修正 ▼ 【ウディタのキーボード入力バグ緊急修正 Ver 2.251】 1月のWindowsアップデートで『Microsoft IME(以下MS-IME)』が 大幅更新されたのですが、これがウディタに限らず 各所で不具合を引き起こしています。 WOLF RPGエディターのゲーム内のキーボード文字入力機能も、 この余波を受けて正常に入力できなくなってしまいました。 MS-IMEを旧バージョンに戻すことでおかしな現象は直せるらしいのですが、 MS-IMEはいちおうデフォルトのIMEであることから そうと分からず困ったことになるプレイヤーさんは多いと思われます。 どういうことになるかというと、こんな↓感じになります。 2.24以前のウディタだとまともに文字入力ができないのが分かると思います。 (最初に出てくるのが従来バージョンを使用したときの異常例です)VIDEO ということで、ここ最近は緊急でウディタの修正を行っていました。 簡単に直せるかと思ったら意外とそうでなかったのですが ひとまずこの問題を直したバージョン2.251を作りましたので、 必要な方はぜひお使いください!※最初はVer2.25でしたが追加のバグが見つかって2.251になりました。 ダウンロードはいつものようにこちらです。 ↓ Ver2.251 ダウンロード【WOLF RPGエディター公式 ダウンロードページ】 【重要なお知らせ】 このウディタVer2.25、ライブラリを最新にした都合上、『過去のバージョンとの暗号化ファイルの互換性がありません』 これが問題になるのは特に「オンラインアップデート」を実装しているケースで、 【最新Game.exeが入ったゲームデータ】と 【過去Game.exeの入ったゲームデータ】では 「異なるオンラインアップデートファイル」を ダウンロードしてもらうようにしなければなりません。 (あるいは過去Game.exeのバージョンの オンラインアップデートを打ち切らなければなりません) Game.exeのバージョン番号自体は、ゲーム内から 「システム変数115:[読]Game.exeバージョン番号(x100)」で取得可能ですが、 何にせよ「新旧の暗号化ファイルが混ざる」とまず【ゲームは動作しなくなります】 ので、その点をあらかじめご注意ください。 『片道勇者(プラス)』のサイト公開分は、 両方ともこの影響をモロに受けるので現在対応中です。 あともちろんSteam分にも今回のバグ修正を取り入れないと 日本語入力がバグったままになっちゃう! という感じで私個人は他にもやることいっぱいです。 横から入った仕事でメイン開発が進まないとちょっと焦る! 急ぎます。
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2020-10-10 (土) Unityを使ったウディタのSwitch移植! ▼ 【ウディタのSwitch移植情報!】 このたび、私のゲーム『片道勇者プラス』がSwitchに移植されました! ので、今回はウディタ移植に関する情報をこの記事にまとめさせていただきます。 まずこれは前にもご紹介しましたが、 移植に関するエスカドラ様へのインタビュー記事が出ました(↓)ので、 特にウディタユーザの方で気になる方はぜひご覧ください! 具体的にどうやってウディタ作品をNintendo Switch上で動かしているのかが説明されています。【「家庭用ゲーム機へ移植不可能」とされた 『片道勇者』がNintendo Switchデビュー。 難しすぎる移植はいかにして実現されたのか?】 https://automaton-media.com/devlog/interview/20200617-127872/ (見られない場合のアーカイブページ) リンク先記事のざっくりとした内容としては、●ウディタの基本プログラムをUnityのネイティブプラグインにしてUnity上で動かした。自分をWindowsのゲームだと思い込んでいるソースコードが Nintendo SwitchのUnity内でそうとは知らずに走っている。 (このやり方でちゃんとなめらかに動かせてるのが一番ヤバい! 将来的に考えれば効率的な方法ではあるものの、普通こういうやり方をしたら 動作がものすごく遅くなって結局「その作品1本だけの」移植をした方が楽という話になりやすいので、 「ウディタまるごと移植」はむしろスーパー技術者にしかできないシンプルな力業です) ●移植の話は技術的に困難で、私(SmokingWOLF)ではなかなか実現の見込みがありませんでした。 また、実は外部からの移植案件も来ていて、ご協力させていただいたのもあるのですが、 うまくいったという連絡も今のところありませんでした。 つまりその中で初めて成功させたエスカドラ様はすごいってことです! ●エスカドラ様によると、『今後はウディタ作品の移植は短い時間で可能』とのこと! 様々なチューンや審査が必要なので一瞬で完了するということはないけど、 ウディタ作品からコンソールゲームがリリースされるのを惜しみなく協力していきます! だそうです! (そして記事の最後に株式会社エスカドラ様のお問い合わせページへのリンクが貼ってある。 カモーンウディタリアーン!) という感じでした。【ウディタのSwitch移植の技術的な話題】 そして『片道勇者プラス』を移植してくださった株式会社エスカドラ様が、 ウディタのSwitch移植に関する技術講演をしてくださいました! 動画はこちらからご覧いただけます!(Unity Japan公式の動画なので安心!) ↓『もはやWOLF RPGエディター製ゲームがコンソール機にも出せる! - Unityネイティブプラグインと化したウディタ -』 VIDEO 全部見るの大変! とかウディタユーザの人に重要なのはどこ? というのが分からないと思いますので、今回はこの講演の内容について ざっくりポイントになりそうなところをピックアップさせていただきます。 (※万が一、中の人に怒られたりしたらこの記事は消滅します)【ウディタ作品の移植について】 ◆『片道勇者』が他プラットフォームへの移植ができなかったので、 エスカドラ様がUnityネイティブプラグインを開発! ◆今後の取り組みは? - いま現在、代表的なウディタ作品の移植を行っている - 代表タイトルの移植を進めることでUnityプラグインの精度を高めているところ◆今後のプランとしては以下の2つを考えているとのこと。 ①ウディタ製ゲームの移植開発を共同で行う(売り上げからロイヤリティを分ける形)。 ②エスカドラ様が受諾開発として移植開発を行う(まとまったお金を払って移植してもらう形)。 究極的には、『誰でも使えるウディタ製ゲームUnityプラグインの汎用化を目指したい』 だそうです! すごい! もちろん、労力に対してどれだけお金が生みだせるかによるでしょうけれどね。◆【宣伝】株式会社エスカドラはNintendo Switchを始めマルチプラットフォーム展開ができる! → なのでエスカドラさんまでご相談ください! とのことです。 【技術的な部分の話】 ウディタユーザの人にも、というか私に分かった範囲の点だけピックアップします。◆移植したのはWOLF RPGの【Game.exe】だけ。エディターは移植してない。 ◆移植方法の候補は3つあった(中には「Switch版DXライブラリ」を使う案もあった)が、 今回はUnityを使ってウディタのC++コードをそのままネイティブプラグインにした。 → それぞれのやり方の細かいメリット・デメリットが講演内で語られています! Switch版DXライブラリなどを使う案もあったそうです。 ◆ウディタプラグインで処理して、Unity側に命令をためておいて実行する形を取ったよ。 → 高速化においてはUnityやC#のこれこれこういう機能を使って高速にしたよ! というのが細かく紹介されています。 ◆音声ファイルについてはMIDIファイルが再生できなかったので 原作者自身がMIDIをそのままWAVファイル化したのを使ったよ。 → 講演では出てませんが、実は私が130曲中の1曲だけやらかして Switch版で山賊戦のBGMを間違えました。ごめんなさい。今は戻っています。 → BGMはROM容量の75%ほどを占めた。まあ元が80MBのゲームでしたから 300MB近く増えるとそうなりますよね……。 ◆セーブデータにおいては仮想ファイルシステムを用意したよ。 【作ってみて起きた問題】 ◆一部処理で期待したほどの速度が出なかった! が他の手段を試してうまくいった。 → インスタンシングがどうとか。知らない言葉ですね……。 ◆環境によるC++の挙動の違いがあった。 → C++のchar型の挙動が環境によって違う意味になる。 → 他にも、私がウディタ内でC++のすごい危険な使い方をして高速化している場所があり、 それがコンパイラの差で違う動作になってしまっていました。 という感じでした! 私に分からなかった部分はピックアップしていませんので、 気になる部分があればぜひ、講演の動画を直接ご覧ください! 今回の講演で一番大きい情報は、やはり「最終的にはUnityプラグインを汎用化したい(みんなが使えるようにしたい)」 というところではないでしょうか。 そうでなくとも、お金を積めば個別に移植作業をやってくださるっぽいので、 「このゲームならXXXX万円は儲かるからXXX万円くらい出して移植してもらうぜー!」 という自信があればエスカドラ様にご相談されてもいいと思います! でも私でも3桁万円出すと猛烈に赤字になりそう。 なお、PLAYISM Game Show で挙げてくださっていましたが、 この技術を使って、今は『マッドファーザー 』というゲームの Nintendo Switch展開のプロジェクトが進んでいるようです。 『マッドファーザー』もウディタ製の元フリーゲームで、私も翻訳関連やSteam展開などで 今もこっそり技術サポートさせていただいております。 そんなわけで、ウディタ作品の家庭用ゲーム進出はまだまだ広がっていきます! 気になる方は今後もぜひ注目してください。
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2020-07-26 (日) 第12回ウディコン、審査開始! ▼ 【第12回ウディコン、審査開始!】 ということで12年目のウディコン、ついに募集期間が終わり 審査開始となりました! 今年の作品数はなんと83本 ! まさかのここ数回の作品数を超えて歴代2位という、驚くほどの盛況です。 参加者の皆さまの情熱、本当にありがとうございます! 審査の締め切りは【8/24の23:59】 までです! 審査内容は途中保存もできますので、 応援したい作品があればぜひ投票をお願いします! 4作品以上投票すると結果に反映されますが、 1作品の評価でも作者様へ「コメント」が届きますので、 「この感動を作者の人に伝えたい!」と思った方は1作品からでもぜひどうぞ。第12回ウディコンページ▼ 今年は全体的なクオリティが半端なく高いので、 気になったものだけでもよいのでぜひ遊んでみてください。 そしてよければ、投票もお待ちしております! それでは、今年の夏もぜひウディコンをお楽しみください!
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2020-06-20 (土) ウディタ作品のゲーム機移植の話 ▼ 【ゲーム機移植の話】 エスカドラ様とPLAYISM様のお力によって、 なんと『片道勇者プラス』がNintendo Switchで発売されました! というのが前回のお話でした。 移植に関するエスカドラ様へのインタビュー記事も出ました(↓)ので、 特にウディタユーザの方で気になる方はぜひご覧ください! 具体的にどうやってウディタ作品をNintendo Switch上で動かしているのか説明されています。【「家庭用ゲーム機へ移植不可能」とされた 『片道勇者』がNintendo Switchデビュー。 難しすぎる移植はいかにして実現されたのか?】 https://automaton-media.com/devlog/interview/20200617-127872/ (見られない場合のアーカイブページ) リンク先記事のざっくりとした内容としては、 ●ウディタの基本プログラムをUnityのネイティブプラグインにしてUnity上で動かした。 自分をWindowsのゲームだと思い込んでいるソースコードが Nintendo SwitchのUnity内でそうとは知らずに走っている。(このやり方でちゃんとなめらかに動かせてるのが一番ヤバい! 将来的に考えれば効率的な方法ではあるものの、普通こういうやり方したら動作がものすごく遅くなって 結局「その作品1本だけの」移植をした方が楽という話になりやすいので、 「ウディタまるごと移植」はむしろスーパー技術者にしかできないシンプルな力業です) ●移植の話は考えたことはありましたが、私には技術的に困難だと見込んでいました。 また、外部からの移植案件も実は来ていて、ご協力させていただいたのもあるのですが、 うまくいったという連絡は今のところありませんでした。 ●エスカドラ様によると、『今後はウディタ作品の移植は短い時間で可能』とのこと! 様々なチューンや審査が必要なので一瞬で完了するということはないけど、 ウディタ作品からコンソールゲームがリリースされるのを惜しみなく協力していきます! だそうです! (そして記事の最後に株式会社エスカドラ様のお問い合わせページへのリンクが貼ってある。 カモーンウディタリアーン!) という感じでした。 今回は上記記事の補足みたいな形で、 「別ハードへの移植」という課題についてなぜこれまで移植が実現しなかったか、 私個人の話をさせていただこうと思います。【自分で別ハードへの移植はできなかったのか?】 株式会社エスカドラ様のおかげで別ハード移植が実現した今だからこそ言えることですが、 自分で移植しなかった(できなかった)理由もありました。 家庭用ゲーム機移植はどういう点が難しいのか? まずおおざっぱに、別ハードへの移植には 以下の3つのレベルの「課題」があると考えています。【レベル1 移植先のハードへリリースする『権利』を得られるか?】 そもそも私みたいな個人開発者の場合、 「家庭用ゲーム機などに移植する『権利』を得られるか」がまず問題でした。 これまでは個人だと、交渉しても「えー会社にしてから言ってよ」って 言われちゃうケースが多かったですからね。 ですがこれに関しては、ここ4年くらいで急激にハードルが下がってきた部分で、 ヘタすると「企業」という形を取っていなくても、 一部のゲーム機に出せる可能性が出てきている部分だと感じています。 (でも完全な個人でNintendo Swtichなどに出しておられるかたって いらっしゃるのかな? 私も詳しくは存じません) 仮に、家庭用ゲーム機では個人で出すのがまだ大変だとしても、 少なくとも「スマートフォン」側のアプリ公開・販売に関しては だいぶ前から個人に対してほぼ自由化されているので、すぐ出すことが可能です。 なのでこれまで一番高かった「そもそも移植の権利を得られるの?」というハードルは、 今ではだいぶ低くなってきていると考えています。 ところが、その先を乗り越えた場所にも大きな課題がありました。【レベル2 移植先のハードで『期待通りの挙動』をさせられるか?】 ここからが技術的な課題です。 まず技術的に第一の関門である、 「そもそも移植先のハードで『期待通りの挙動』をさせられるところまで行けるか?」 というのが、けっこう大きな問題です。 とはいえ、私の開発ツールは『WOLF RPGエディター』であり、 プログラムのソースコード自体は全部持っているので 本当だったらわりかし簡単にできてもおかしくない部分です。本当だったら!! ソースコードがひどすぎて、そのままだと動かないとこいっぱいすぎて やっぱりすごい大変でしょうけど! エスカドラ様のほうでも、私の爆弾入りうんこコードのせいで 大変なことになっていたと思います。 たとえば私が作ったウディタの実行部分は、ゲーム内処理を高速化させるために どうやら本来の用途から外れているやり方で危険な処理を組んでいたらしく、 コンパイラのバージョンが変わっただけで微妙に挙動が変わるといった 見つけにくい問題が起きたりして大変なご迷惑をおかけしてしまいました。 ただそんな私みたいな「パソコン坊主+α」のレベルでも、時間さえかければ、 いつかはゲーム機上で元とほぼ同じ挙動になるまで仕上げられるかもしれません。 ここは最低限の技術力やセンス、学習力さえあれば、あとは「根気」の問題だけで、 「実現できる可能性がまだある」部分だと考えています。 最大の問題は次でした。【レベル3 移植先のハードで『期待通りの速度で』 動作するか?】 このレベル3、「期待通りの『速度』で動作するか?」というのが あまりにも重すぎる課題で、正直、 私の能力では手に負えないと考えていた部分でした。 「ウディタ作品(や『片道勇者』)をスマホやゲーム機で出せるようにしないんですか!?」 とたまにご要望をいただきますが、ウディタの処理を普通にスマートフォンで動かしたら 「いちおう動くけど毎秒5~10フレームしか出ない! ここから3~6倍も速くしなきゃいけないの!?」 みたいなことになるのは、程度の差はあれほぼ確実です。 (通常、ゲームは毎秒30回更新や60回更新で動作させることが多いので、 5~10フレームだと目標の8%~33%分しか速度が出ていないことになります) そして私は、こういった最適化技術に関してはやっぱり「パソコン坊主」レベルなのです。 仮に組んでみて5~10フレームしか出ない状態から、 なんとかして30フレーム出せるところまでいけるかというと、 それはもう「プログラム技術のうまさとセンスがどれだけあるか」かつ、 「スマートフォンやゲーム機での最適化にどれだけ熟知しているか」 という問題になってくるわけで、私にとって初めてのスマホアプリ開発や ゲーム機での開発でそれが達成できるとはとても思えません。 この「速度の問題」をクリアするための技術は、何年もその機種で作り続けてようやく、 「最初からこういう構造で作っていけば速く動かせるぞ」 と理解できるようになってくるもののはずです。 なので私がいま移植プロジェクトを立ち上げたとしたら、その結末は「何とか『元と同じ挙動』をするものは作れる」ものの、 「速度面の品質がダメすぎて何もリリースできない」 という形で終わるパターンが最も有力ではないかと考えていました。 (もちろんそれ以前、レベル2の『挙動の再現』すら達せない可能性もあるでしょう) そしてまた、移植会社さまが一番すごかったのが、 「ここを期待以上にやりこなせる非常に高い技術力をお持ちだった」ということです。 このレベル3をどうにかできる力があるならば、実際どんなやり方だってどうにでもできるんですよ! でも一方で、できなければ一切成果にならない。このレベル3はそんな課題なのです。【それで、スモーキングウルフの能力としては?】 私の別機種への移植のハードルは前述のように考えていて、 このうちの「レベル3」を突破できる見込みが私にはありませんでした。 「でもウディタ作れたじゃん!」って? 実はウディタそのものは、 「Rubyでなんとか動く自作ゲーム(シルエットノート)を作れるスキル」の人間が、 「初めてのWindowsプログラミングでも時間をかければ作れてしまう」程度には、 「やる気さえあったらいつかは作れる」ものだったんですよ! つまり、ウディタ開発は今回でいう「レベル2 意図通りに処理が動く」までの 必要能力やセンスだけで実現できるものだったのです。 私は採算度外視で動けるケースもあるので、 ウディタ開発プロジェクト単体で見れば労力の面ではすごい大赤字でも、 採算さえ無視すれば実現可能性が高いプロジェクトだったわけです。 なので私のプログラミングスキルは完全なポンコツではないかもしれませんが、 だからといってレベル3に至る技術力があるかというと、 そこにはあまりにもほど遠いものでした。 ということで、結局何が難しい点だったかをまとめると、【レベル3 期待通りの速度が出せるか】の課題が明らかに難しいのと、 【水準に達しなければ何も出せない】 の2点が最大のネックだったのです。 特に、「品質次第では何も出せない可能性がある」というのが一番痛い! 仮に総合評価が50点くらいにしかならないゲームであっても、 リリースできる状況なら、完成すれば私は必ずリリースすると思います。 しかし今回のような「移植プロジェクト」は、評価が50点だとリリースすらできません。 「毎秒10フレームしか出ないゲームでも出していいよ!」という 家庭用ゲーム機の会社さんは今どきいらっしゃらないでしょうし、 プレイヤーの方も遊びたくないでしょう。 「ゲームの移植」という仕事が私のいつもの仕事とは違うのは、まさにその部分だったのです。 「経験値を得るための時間」を大量に費やしてもいいのなら 時間をかけて自分で試すこともできるのですが、 4年くらい前に事故で口座残高が2桁になってしまったので、 「時間をかけても何も出せないかもしれない」ハイリスクなお仕事に挑むのは、 ますます難しくなる一方でした。 そしてまた、そんなところに移植のチャンスが舞い込んできたので、 本当に関係者の皆さまには、頭が地面に埋まるほど感謝したい状況だったわけです。【最後に 移植会社さんの技術も勇気も凄かった】 『ゲームの移植』というのは、たとえちょっと処理が不安定でカクカクであろうと、 「なんとかリリースできる」だけでも実はかなりの能力があるはずなのに、 周りからは「それじゃ不十分だ、もっと完璧に仕事をこなして当たり前」 と思われがちな、過酷なお仕事です。 そしてこれは私の想像ですが、要求される技術力に達することができず、 「リリース基準を満たせずに消えてしまった移植プロジェクト」というのも、 ウディタ移植に限らず、実は裏で結構あるのではないでしょうか。 そんな「ゲーム移植」という仕事の難しさにも関わらずに果敢に挑戦してくださった 株式会社エスカドラの皆さまの勇気と、移植を実現してくださった その高い技術力に、私は心から敬意を払いたいと思います。 このたびはウディタ作品の移植を手がけてくださって、本当にありがとうございました。 そんなわけで、関係者の皆さまの血と汗の結晶である 『片道勇者プラス』、Nintendo Switch版はただいま好評発売中です! ↓【ニンテンドーeショップ 『片道勇者プラス』販売ページ】 ¥1,500 ただスイッチ版だと字が小さいので、それが気になる方にはPC版の方がおすすめみたいです。 (特にSwitch Liteだと小さすぎて厳しいというお声も!) 一方で、快適性はヘタにパソコンでやるより速い人もいらっしゃるらしいので、そこはご安心ください! チャンスがあれば、またフリカツのとき (ニコニコ動画) みたく プレイ動画などを作ってご紹介したいと考えています。
ウディタ 7/7
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