シルバーセカンド開発日誌
 ここはゲーム開発者SmokingWOLF(スモーキングウルフ)の開発日誌です。
 【現在の目標】→ ウディタ3.5のバグを落ち着かせる! & 『片道勇者2』の開発!
 ※以前のブログが使えなくなったので、ただいまこの開発日誌に移転中です。
2024年02月

2024-02-17 (土)   片道勇者2開発+12 仲間処理を作成中!
ぬおおお全然進まないぃぃと言いながらも
ぼちぼちやってるウルフです!

たまたまXヶ月以上ぶりに介護活動のない日ができたと思ったら
5倍速くらいで進んでしまい、激しい介護活動で
どうも80%くらい消耗してるっぽいと分かってグオオとなっています。

で、ここ最近は『片道勇者2』の仲間キャラの仮搭載に向けて
いくらか作業をしていましたのでご紹介!


【片道勇者2 仲間キャラ仮搭載中!】

現在は、仲間キャラに必要な素材やテキストを仮にでも何個か作ってみて、
仲間関連にかかる作業の見通しを立てるフェイズを行っています。

どこかで1回やらねばならなかったんですが、キャラのセリフを
書いたりするのが今の状況だとしんどすぎてずっと放置されっぱなしでした。

※↓癒し手ネムリ(前作1の薬師ネムリの孫!)


その間は仲間キャラの「イラスト作成」を進めることが多かったのですが、
そんな中、先日ちょっとだけ時間や余力ができたので、
その隙に猛スピードで仲間キャラ1体の
ストーリー周りの設計や処理を書いていました。

おおよそめどが付いてきたので、今作で目指したい
「仲間キャラのお話周りの方針」について整理してみます。



【片道勇者2の仲間キャラの「お話」はどうなる?】

今回の仲間キャラ作成のお話部分は
「1周あたりの情報量は前くらいのままに、
前作より情報量やシチュエーションを増やしたい!」

が目標です!

前作『片道勇者(プラス)』よりも仲間キャラの遭遇率を上げると同時に、
お話面でもいろいろと増やしたいなと思っています。
もちろん、読むのが面倒にならない程度の置き方を考えながら!
いい感じのハシ休めポジションを維持したいですね。


◆出会いのパターンを増やしたい!
今回は仲間と遭遇できるシチュエーションを増やすことで、
「狙って使う感」と「飽きにくさ」を増やしたいと考えています。

たとえば「普通にフィールドを歩いている仲間を見つけた」という
シチュエーションとは別に、
「街が敵に襲われてる中で助け出した」みたいな大変な状況でも
仲間と出会うことがあります!

そういった状況で助けたりすると、仲間にするのに必要な
カリスマ(魅力)が少なく済んだり、別のボーナスを
代わりにもらうこともできる、みたいなパターンを用意する予定です。

※↓ これは旅の途中、ネムリから救援を求める手紙が届いたシーン


あと、スタート地点に仲間を「住人」として配置して、
「いつもより高いカリスマを消費することでスタート地点から
仲間を連れていくこともできる!」みたいになれば
またプレイ方針が変わってくるでしょう。

1人でも確定で仲間を連れていけるなら、
前作では条件がそろいにくくて狙いづらかった
「仲間前提のビルド」も組みやすいはず!

「でも最初から前作相当の強さの仲間がいると強すぎないかな!?」
と思ったりもするので、バランス調整はうまいことやりたいですね。


◆何度も出会ったら違う話が見られるようにしたい!
発想的には別に大した話じゃないのですが、今作は周回を重ねると
「前には聞けなかったお話」が聞けるようにしたいと思っています。

前作では遭遇率がそもそも低かったのもあって
同じ話だけでも何も問題なかった感じはあるのですが、
今回はもっと出会いやすくなる予定ですからね!

具体的には、「すでに1つめの話を全部聞いた状況」で
別の世界でまたその仲間に会ったとき
「その話は聞いたよ / 他の話をしてよ」みたいに言えば
別の話をしてくれるようになります。
とりあえず遭遇率に応じて2~3回分以上用意して、
ほどほどに新鮮味を出していきたいところです。

あと、この手法なら
「1回のプレイでは話すには多い情報量」を
1キャラクターに詰め込んだとしてもプレイごとに
徐々に伝えることができます!
スポイルしなきゃいけないほどの設定や余談が思いついても安心!

最後の方は全体のストーリー的には重要でない話が
多めになったりするかもしれませんがそれはそれで。
ネムリ(2世)が最初から最後までナユタの実への愛を語るだけで
終わるエピソードだって作れます。


◆「仲間に焦点を当てたクエスト」も作りたい!
前回は理騎士クエストやら忍者クエストなどがありましたが、
今回は「仲間に焦点を当てたクエスト」も作りたい!
と思っています。これは現状思ってるだけで
設計予定に入れただけの状態です。

というのも、
「知らないキャラに話しかけてクエストを始める」よりは、
知ってるキャラに話しかけて新クエストが始まった方が
プレイヤーの方もなじみやすいしキャラの深掘りもできて一石二鳥
です!

人間は基本的に「身内から」助けをもとめられる方が
やる気が出やすいので当然といえば当然なのですが、
それを意識してやってくれているゲームは意外と少ない気がします。

たとえばスマホゲームでも、クエストの始まりが
「プレイアブル(プレイヤーが使用可能な)キャラの誰か」
からの依頼なのか、「知らないモブキャラクター」からの
依頼なのかでちょっとやる気が変わった経験をされたことはないでしょうか。
多くの場合、「知ってるキャラ」からの依頼の方がやる気がでると思います。

ものすごい当然の手法ではありますが、
いざ自分がゲームを作ると、うっかり
「知らない人」ばっかりから依頼を出しがちです。

『そのクエスト依頼、うまくやって何とか
身内のキャラから出せないかな?』


という点はこれからちょっと意識していきたい部分ですね!


【余談:矢を専用に装備しなくても弓矢が撃てるようになってます!】

以前の記事にコメント欄でいただいたので
こっそり返信してたのですが、実は『片道勇者2』では前作と違い、
弓矢の「矢」を追加装備欄に装備する必要がなくなります!



つまり「狩人の弓[120]」を「武器欄」に装備するだけで、
「追加装備」欄に何も付けなくても120発分の
「木の矢」相当の攻撃が撃てるわけですね!

前作では弓と一緒に「追加装備」欄にも
「木の矢×80」みたいなのを装備しないと
弓が撃てませんでしたが、この仕様はちょっと面倒でしたし、
弓だけしか拾えないこともたまにあって悲しいことになりがちでした。

そして「武器」欄だけで弓矢が撃てるようになったということは、
「追加装備」欄に「破壊の腕輪(ダメージ1.3倍)」を付けたりできて、
射手キャラのビルドにさらなる自由度が生まれます!

いちおう「追加装備」欄に「盾」も装備できるようになりますが、
【「射撃攻撃」と「盾防御」は同じターンには使えない】
みたいな制約は付くかもしれません。
(ただし「盾」の親戚である「追加装甲」を装備していれば、
射撃攻撃してても防御効果を発揮できます。
こんな風に射撃職は、防御力の稼ぎ方にちょっと制限が出ます)

「追加装備」欄に装着できる「特殊な矢」自体は今作でも搭載予定です。
「炎の矢」とか「爆弾矢」みたいなやつですね!

弓を持ってなくても2マス先まで攻撃できて便利、
という要素はこういう形で継承されます!



という感じで、進められる範囲でぼちぼち進めております。
生活は大変ですが、引き続きやれる範囲で
全力を尽くして進めていきます!
確定申告の時期なのでそれも用意しないといけませんね! うおおお!
 2024-02-17 (土) web拍手 by FC2 カテゴリ: 片道勇者2




2024-02-03 (土)   風来のシレン6に触れて学んだこと【ローグライクお勉強記】
先日、発売から遅れながらもようやく
『不思議のダンジョン 風来のシレン6 とぐろ島探険録』を
少し遊ばせていただきましたので、忘れないうちにゲーム開発者の視点で
「こういう部分いいですね!」と特に感じたところをメモしておこうと思います。

私も現在、デッキ構築ローグライクRPG『片道勇者2』を開発しているので、
よくできる工夫に気付けたならその意図は取り入れたいですからね!
もちろんゲームのコンセプトは違うので、ちゃんとかみ砕いて
理解した上で意図を取り入れていきたい所存です。

なお、この記事はシレン6のネタバレが満載ですのであらかじめご注意ください。

※「ローグライク」というゲームシステムについてここでは詳しく説明しませんが、
簡単に言うと「マップ上を1歩ずつ移動して、そのマップ上のまま敵に攻撃できたりアイテムを
使ったりするシステム」のRPGです(普通のRPGにおける「戦闘パート」という概念がない)

『風来のシレン6』はターン制で、自分が1歩あるいたり攻撃したりするたび、
全ての敵も1歩動いたり、あるいは1回攻撃してきたりします。
なお、だいたいのローグライクは死ぬとスタート地点に戻されてレベル1からやり直しなので、
「プレイヤーのうまさ」の方を上達させてクリアを目指すゲームジャンルとなっています。
危険な場面でどのアイテムを使うか、どう動くべきか、
そういった適切な判断が求められるのが面白いゲームです!




◆『風来のシレン6』ですばらしかった点、色々!

シレン6、最初のダンジョンクリアとその他ダンジョンの解放くらいまで
遊ばせていただきましたが、今作は
プレイヤーの感情面をさらにゆさぶる明確な意図を持った新要素
や、
まちがいなく遊びやすさ向上につながる新要素
がとても多かったように感じます!

特に「ゲーム面の仕組みやバランス周りだけでここまで
ドキドキワクワクできる感じの調整ができるのか!」と感心したので、
今回はその辺りも注目していきます。
ローグライクというゲームにおいて
「ゲーム部分で感情を盛り上げる仕組み」が今作はすばらしかったんですよ!

※逆に言うと、過去にたまにあった
面白くなりそうな気がするから搭載されたっぽいけどこれどうなの?」と
感じてしまう要素が今回全然なかったり、あるいは過去作から省かれたりしていました。
そういった部分をなくしたりするのも難しいはずなんですが、
今作はそこも含めてすごくしっかり取捨選択されている印象でした。




【バランス】「シレンのHP自然回復上昇」と「敵の攻撃力増加」で
体験がダイナミックに変化!


ここはみなさんもおっしゃっている大きなバランス調整点!
過去作と比べ、大幅に「シレンのHP自然回復上昇」と
「敵の攻撃力増加」が行われました。
たぶん「敵の耐久力(倒すための必要打数)」も全体的に上がった気がします。

これによる変化を2つの観点で見ていきます。


【1.戦術幅の増加、判断の楽しさアップ、スリルの生み方のうまさ】
1つめはゲーム面や体験に与えた影響について!
「戦術幅の増加」「判断の楽しさアップ」「スリルの生み方のうまさ」を
挙げていますが、それぞれ細かく見ていきます!

まず「シレンのHP自然回復上昇」と「敵の攻撃力増加」の変更で
どう変わったというと、少ないターンでHP回復が行えるため、
戦闘中の行動として

『敵が隣接した状態のまま、後退していったんHP回復した後、再度敵に攻撃する』

という行動が現実的な選択肢として増えました。
この記事では便宜上、その戦い方を『後退戦』と呼ぶことにします。
この「後退戦」を活用した具体的な戦闘の流れを紹介します。


【後退戦の例】
まず最初に、1歩あるくたびに主人公シレンのHPが2ずつ回復するとします。
(今作ではレベル10になるとこの速度で回復します!)

通路で敵Aと戦ってるとき、敵Aの一打で17ダメージを受けて
自分のHPが残り10になり、
「あと一撃当たれば敵Aを倒せるけど、次に自分が
攻撃を外したら敵Aの反撃で死ぬ!」という状況になりました。

自分が後ろの通路に一歩下がって自HPが10→12に回復するのを確認し、
あと4歩下がって20まで回復させて、
敵Aの一撃(17)に耐えられる安全マージンを確保しました。
こうすればシレンが次に攻撃を外しても生き残れるので、安全に戦えるわけです。

もし次のシレンの攻撃が外れて反撃を受けたら、
こちらの残りHPが20→3くらいになってしまうので、
また9歩くらい下がって攻撃します。
「ぐあー通路を9歩も下がるのー!? 9歩以内に
他の敵が来たりしないかヒヤヒヤするー!!」と思いながら!

そう! 理論上は無限にHPを回復し続けながら
戦い続けられるように見えますが、下がるということは
別の敵が前から来て、戦闘中の敵とはさまれる可能性がある
というリスクがあるのです!

そのため、「後退できそうな距離」は今作の戦闘で考慮すべき
重要なパラメーターの一つになったのですが、その正確な見積もりは
(ミニマップ上で敵を見られる状況でない限り)非常に困難です。

おまけに、高難易度のフロアに頻発する「1歩先しか見えない通路」内にいる場合は、
移動した後に前から来た敵から先制攻撃を受ける危険性まで発生するので、
安全マージンの取り方はもっと難しくなります。

もっと言えば、この戦法を使うことでよく発生する
「通路で前後マスを敵にはさまれた状況」はおそらくゲーム内で
トップクラスに悪い形で、一手で打てる有効な対策はかなりしぼられてくると思います。

「後退戦」は後退中に何も起きなければ満腹度の限り無限に
ダメージを与えられるハイリターンな技なのですが、
何か起きると非常にハイリスクな戦い方なのです。


【後退戦によるスリルの生み方がすばらしい】
この「後退中に別の敵が前から来て、元の敵とはさまれる可能性がある」
という部分、実際遊び手として体験してみると、
1歩後退するたびに感じる『ヒリ付き具合』がすごい!

この後退中のスリルの生み方が今作において
非常にすばらしいデザインだと感じまして、常に
「逃げてるときに他の敵が来たらヤバいぞ、ヤバいぞ」と思いながら
後退してHPを稼いで戦うプレイをする緊張感を
長く生み出せているのがとてもいいんですよ!

実際は1フロア内の敵の数が少なめのためか、
10歩くらいの後退で挟み撃ちになることはかなり少なく、
「ドキドキさせるんだけども実リソース的にめちゃめちゃにされることは意外とない」
という、私が思うゲームとして理想的な流れにできているのも好みの点です。
まあ「意外とない」だけで、打開策がないときに
1回それが起きたら即座にゲームオーバーなんですけどね!

もちろん調子に乗って長距離後退するとちゃんと挟み撃ちになります。
調子に乗らなくてもすぐ挟まれることがあります。どこまで運頼みするかの見極めが難しい!



【スリルを生む回数を増やすための敵のパラメーター設定】
また、今作は敵の「攻撃力」がかなり上がり、
レベル1で戦う最弱モンスターからの攻撃ですら
こちらが4打でやられてしまうようになりました!
シレンのHPが15しかないのに4ダメージとか出してきます!
最弱のマムル相手でも初期レベルで2体同時に戦ったら普通にやられかねません。

また「敵の耐久力」も、今作は序盤以外のほとんどの敵を倒すための打数が
「2~3打以上」、弱くない敵はほぼ「3打必要」に設定されており、
かつ敵の攻撃力が上がったため、こちらが1~2回ミスしただけで
簡単にピンチになるようになっています。
状態異常をかけてくる敵まで3打必要とか辛い!

このパラメーター設定により、相手次第では1体しかいなくても
「後退戦」が一定確率で発生するようになっていて、
結果として「後退戦」のヒリつき体験はだいぶ長い時間味わえるようになっています。

なおかつ、その状況を生むほど強い相手はだいたい1階層に
1種類以上は出現しているので、緊張感が途切れません。
(もちろん、1回くらい外しても殴り続けるだけで倒せる相手もある程度出ます)


本作は全体を通して「単体の敵なら確実に倒せるから何も恐くないやー」と
なってしまって緊張感がなくならないよう、
意図をもってしっかり敵の強さが設定されている感じがします。
物理攻撃しかしてこない単体相手でも運次第では特別な対応が必要になる
それがシレン6!

 でも私が、操作するだけで楽しさを感じて満足していた10歳のときにこれを遊んだとしたら、
きっと足を止めてのガチ戦しかしなくて難しすぎて投げてたと思います。
そういう遊び方しかできない人もいることは頭に入れておきたいと思います。
(イベント展示で『片道勇者プラス』のプロト版を幼女に遊んでもらったら方向転換ができずに
一方的に敵にやられてしまっているのを見てトラウマになったことがある私より)


※追記:敵の耐久力が高いと戦闘に文脈が出てくる
ちなみに、種族特攻の武器は「ダメージ1.5倍」になるらしいのですが、これだと
「3打」必要な敵は確実に「2打」以下で倒せるようになります。
特攻が硬い敵に対して確実に1打減らせる安心感があるので、しっかりありがたみがあります!
それでいて一撃では終わらないのでダメージを受ける可能性が依然残るため、
敵が多い場合に無思考に流れ作業で戦う展開も
そんなに発生しません(持ち込み武器などでしたら一撃ですが)。

また、「3打」必要となると、周囲の敵の位置関係も重要になります。
一撃で倒せる敵しかいないなら、部屋の中でも一列に並んでやってきていれば
前から切り伏せるだけですが、1体3ターンかかるなら通路に下がって戦うなど
必要な工夫が増えるわけですからね。
さらにその間に「通路側から敵が来ないか」というスリルも生まれる!

「倒すのにだいたい3打必要」という耐久力は、こういう「効力の見せ方」や
「考えどころ」が生まれるのかー、と、いい肌感覚を学べています。




【戦術と判断の幅が増えた!】
前作シレン5では、後半のHP回復速度が低かったので
「逃げながら戦う」ということは滅多になく、
「危機になった時点でとにかくアイテムを使って対応する」という
『アイテム消費してほぼ確実に安全を得る』
という打開策がだいたいの場面で最善手でした。

ですが今回、『ほぼノーコスト&ハイリスクハイリターン』
「後退戦」ができるようになったおかげで、
どこまで節約するかの柔軟な択が増加しました!

たとえば強い敵や多くの敵と遭遇した場合でも、
「敵にはさまれるリスクを負いながらアイテム消費なしでの後退戦をする」か、
「今すぐアイテム使って敵を無力化し、急な敵のおかわりにも対応できるようにしておく」
かの悩ましい選択が生まれています。
また、「後退戦」と「アイテム消費」を組み合わせれば、より少ないアイテム消費で片が付くでしょう。

後退戦のリスクの正確な見積もりは非常に難しいので、
何が正しかったのかの評価はコンピューターにも簡単に計算できず、
難しい局面では「誰が考えても同じ解になる」みたいな流れに
なりにくいのが今作の特にアツいところだと感じます。


そして今回、一番大事な点として言いたいのがここ!
伝統的ローグライクゲームはプレイが極まっていくと、
『より少ないリソースを使って危機を乗り越える判断をしていく』
という面白さを味わうゲームになっていくと考えていて、
これまでのシレンでもおおまかには

●安全に倒せる敵はその場で通常攻撃で倒す。
●ピンチのときはアイテムを消費するが、その中でもなるべく効果が小さいか
残弾に余裕があるものから使って節約していく。


という形でそれを実現していたと思うのですが、その両者のすき間に、今になって

●一定確率でハイリスクな状況に陥るが
アイテム消費なしで無限ダメージが出せる『後退戦』


という選択肢を現実的な形で増やしてくるというのが開発手腕としてすごい!

「なるほどこうやって選択肢の択を増やすと面白いのかー!」
と首がはずれるほどうなずいています。
特に「リソース消費なし」だけど「一定確率でかなりマズい状況になる」という点が、
プレイヤー感情としてのドキドキ感やギャンブル感も出せて無駄がない! ズルい!

この造りは実際に体験してみて非常に面白く感じたので、
こういった「判断の段階の生み方」は自分もうまく作れないか、
よく考えていきたいと思います。

※追記:なおフロア内の敵の位置が常に全て分かる『気配察知の腕輪』が取れたら
通路での挟み撃ちを回避しやすくなるため、マズい状況になる頻度をかなり減らせます。
今作、敵の位置が分かることはほぼノーコストで無限の火力を
発揮できるチャンスに繋がるので従来以上に強いです!



【まとめ】
●【ゲーム面】戦闘時のピンチにおいて、通常の
「アイテム消費あり+だいたい安全」の『アイテム消費』
という打開策に加え、
「アイテム消費なし+ハイリスク」の『後退しながらの戦闘』
という選択肢の幅が増えて判断を楽しくさせている。

●【感情面】「敵の高攻撃力化」「もっぱら3打必要な敵の耐久力」
「後退による素早い自HP自然回復」の組み合わせにより、
頻繁に「後退しながらの戦闘」が発生し、
スリルの感情を長い時間生み出せている。




【2.画面情報から危険度が分かりやすくなった】

こちらも引き続き「シレンのHP自然回復上昇」と「敵の攻撃力増加」に起因する話で、
画面情報から危険度が分かりやすくなったという話です!


【バランス調整で見た目からの分かりやすさがアップ!】
配信しながら遊んでいる中、「自然回復速度アップ」と「敵の攻撃力アップ」の
修正で感じたのは、実は『見た目の分かりやすさの向上』でした。

1体のモンスターですら自HP満タン状態からガチバトルすると運次第で負ける中、
複数の敵に囲まれたりなんかしたら「通常攻撃で戦うだけじゃ絶対死ぬ!!」
というのが明確に分かるので、配信中も何度か敵に囲まれて
「ギャアアア!」と言ったと思います。

が、バランス自体はさらに厳しくなったように見えて、実は

●プレイヤー視点で特別な対応をすべき状況(アイテムの使用しどころ)が
分かりやすくなった。

●視聴者から見ても「ヤバい状況になった」というのが明確に分かる回数が増えた。
(とにかく2体以上の敵に寄られたらキツいので、見ればすぐ分かる)


という変化が起きており、これらはとてもいい点に感じました。
この動画時代だと一目で見て状況を把握しやすいというのは大事なので、
これはすばらしい修正のような気がします。



【自然回復速度が遅いゲームだと状況把握が難しくなる?】
ここまでは「自然回復大、敵の攻撃力も大」という前提のゲームの話を
してきましたが、一方で『自然回復速度が遅くてジリジリHPが減っていく中を
うまく生き残るゲーム』って、実は遊ぶ側も見てる側も
なかなかのマニアックさが要求されるのでは、という考えが私の中にあります。

どうなるかというと、以下のようになる場合があります。

●自然回復速度が遅いゲームは「敵の攻撃力も低めになりがち」で、
敵が複数でも「殴っても強引に勝ちにいける」という可能性が残りやすい。

→ この結果、プレイヤーとしてもアイテムを切るべきかどうかの判断が
かえって難しくなり、プレイヤー側にも視聴者側にとっても
「難解さ」を上げてしまっているケースがある。

●自然回復速度が遅いゲームはHP維持のために
「さほど危なく見えない場面でも予防的にアイテムを
切らないといけない場面」が発生しやすい。

→ しかし「危険になる前にHPを減らさないように対応している」様子は
直感的に『ピンチに対してうまくやっている』ようには見えづらく、
視聴者にとっての見どころが分かりにくい! 上級者同士の将棋みたく、
1画面では暗黙の文脈がパッと伝わりづらくなりやすいかも。



これらは「問題点」というよりはゲームの「味」と呼んでおくのが丸そうですが、
こういった点に対し、シレン6では「大きい交戦ごとにだいたい自HPが満タン」に
なっており、「画面内の敵が何体シレンに接近してるか」という部分だけ見れば
危険度が一目で分かります。

2体以上の敵に寄られたら本当にヤバいので実況プレイヤーの方も
「ギャー!」「ヤバい!」って言っちゃうでしょう!
私は言ってました。そういう部分も分かりやすい!

そういった意味でシレン6は「過去作よりデータ的には難しくなったけれど、
アイテム消費などで工夫をすべきポイントは旧作よりも分かりやすくなっている」
「視聴者も見ててピンチが分かりやすい」
という印象があり、
ゲームとしても動画コンテンツとしても、よりスッと頭に入ってくる感触がしました。

今が危ない状況かどうか、1画面を見て
プレイヤーも視聴者もパッと分かる仕組みになっているか?


これは動画映えを意識したゲーム開発において、非常に重要な点になると感じます。
自作ゲームも動画映えもなるべく狙っていきたい身としては、
そういった分かりやすさを出すための努力もしたいですね!


【まとめ】
●【ゲーム面】「敵の強化」と「ほとんどの戦闘開始時での自HP満タン化」
により、(自然回復が遅いゲームよりも)アイテム使用など
特別な対応をすべきタイミングが画面の状況から分かりやすくなっている。
●【動画配信面】パッと見て、敵の多さだけでまずい状況か否かが直感的に
分かりやすくなったので、視聴者にも親切になった(かもしれない)。




【バランス】特に条件を必要とせずプレイヤー有利になる要素があってうれしい!

ここから先は細かいお話です!

シレン6では、以下のボーナス要素があって、
私に「ラッキー!」と感じさせる効用が強かったです!
さらにこれらのボーナス要素は、特別なアイテムなしに入手可能です!

●高確率でアイテムが出るキラキラ:
通路や部屋の端にたいてい3個くらいのキラキラが埋まってることがあり、
通常攻撃すると割といいアイテムが2~3個手に入ります。たまに敵や罠も出ます。


↓こういったキラキラを攻撃するとアイテムや敵が! いいアイテムが出やすい気もしますが気のせい?

 
●柱の部屋:壊すとアイテムが出やすい「柱」が9個並んでる部屋などが
出てきてワクワクします。たぶんこれもたまに敵が出ます。



一方、これまでのシレンでは、

●壁を掘れる場合だけ入れる隠し部屋
→ アイテムやお金が大量に落ちているが、穴を掘るためのツルハシなどが必要。

●アイテムが3つ落ちている、水路に囲まれた小島
→ 場所替えの杖やマップ改変系アイテムで入る、割と良いアイテムが多い印象。


といった『特定アイテムを持っている場合だけ入れるお得な場所』が
用意されていたのですが、前述のように必要アイテムなしで
「探索だけで色々と特別なボーナスが手に入る(と感じられる)パターン」は
ほぼなかったか少なかった気がするので、今回のように
「探索するだけでもらえるボーナス」が新鮮でした。

こういう要素は「うれしさ」感情を増してゲームにメリハリを生み出すのに
役立っていると感じたので、ぜひとも参考にしたいですね!


そして思ったのが、おいしい展開に出会うのに、「ツルハシを持ってる」などの「特別な前提条件」なんて別にいらなかったんだ! ということ!

もちろん「前提条件がそろってるときだけうれしい要素」があると
狙っていく意欲が生まれて楽しいのですが、何割かのボーナスは
前提条件なしでもらえても何にも問題なかった!
確かにソーシャルゲームの「ログインボーナス」だって、「ログインする」という
低コストな行為でもらえるものですが、嬉しいと言えばちゃんと嬉しいですもんね。


【アイテム発生量の裏側について考える】

ちなみにこの流れを見て思ったのが、ゲーム開発側は
「全体のバランスが同じまま、こんな風に『喜ばしい体験』だけを
増やすこともできるんだよなあ」
ということでした。

たとえばすでに「地面ドロップ分」だけで完全にバランスが取れた
ローグライクゲームがあったとき、「喜び要素」をそこからバランスを
あまり変えずに足すこともできます。

それは「【通常の1Fあたりのアイテム取得数】を減らして全体のレア度を
下げ、【お手軽入手可能なボーナス分】にレア度の高いアイテムを回して、
総合的に普通通りのバランスになるようにする」
という単純な工夫!
誰でも思いつくけどたぶん意外とやれてない!

でもこうすれば、バランスほぼそのままで
プレイヤーへの「ラッキー!」という感情だけを増やすことだけができます!

どうせ同じ総リソースをプレイヤーに渡すなら
『もっとも喜ばれるあげかた』をした方が体験としてもいいですよね。

こんな風に『大きくバランスを変えずにラッキー感だけを追加で生み出せないか』
という意図を持っておくことは、ゲーム開発において非常に有用だと感じます。
今後もこれを意識して、同じものしかあげてなくても「喜び度」を
たっぷり上げていく工夫も考えていきたいですね!
TRPGでゲームマスターなどをやるときも、こういうテクニックは使えそうです。


【まとめ】
●【感情面】特別なアイテムを用意せずとも、探索しているだけで割と良い目の
アイテムが複数一気に取れる展開があり、プレイヤー感情的にうれしさが増加!

●【開発側視点のバランス】開発側としては、普段出てくるアイテムを少しだけしぼって
ボーナス分に回すことで、全体のバランスをたもったままプレイヤーの
「ラッキー!」感だけを上げることができる(かも)!




【バランス】神器という複数付与つき装備を見つけたときのちょっとした興奮!

シレン6は低確率ながら、最初から付与効果が複数付いている
強力な装備が手に入るようになりました。最大付与枠も多いそうです。
明らかに特別な武器なので、これはうれしい要素ですね!

が、それよりも「あ、これいい!」と思ったのが、
マップ画面上でも光っていて遠くからでも「おっ!」と気付ける
ようになっていること!
近付くと「フィーン!」という感じの何か出たっぽい音もする!
これはハック&スラッシュ系ゲームでレアアイテムが出たときの伝統的演出!

こんな風に

『レアアイテムを目立つようにお知らせして、
拾うまでのディレイを生むことでプレイヤーをワクワクさせる』


という仕組みは、テンション上がりタイムを少しでも
長く生み出すために重要な方法です! 分かってるー!
色んなところから細かくワクワクできる要素を取り入れているのが
すごいしっかりしてるなあ、と感じました。自分も見習いたい!

 私の『片道勇者』でも特殊な付与が複数付いた装備はさらっと登場しますが、
「いっぱい付与が付いてることが遠くから分かるようになってる方が絶対にワクワクできる」ので、
私もそういうワクワク感強化の方向性はしっかり取り入れた方がいいなあ、と感じました。
他にも、「敵だらけのダンジョンの宝箱に強装備が入っている」と遠くから分かるようになれば、
コストを支払って取りに行くか悩めるようになったりして楽しいでしょうしね!


なお、神器の性能は「普通より高い基本攻撃力&印の枠数多め」
という感じだったので、合成ベースとして使うと強い感じでした。
驚異的に強すぎるというほどではありませんが、
「いいベース装備の神器を1本取れると強化の過程をグッと短縮できる」
という印象で、取れるとしっかりうれしいアイテムになっています!


【まとめ】
●【バランス面】特殊能力がいっぱい付いてたり能力枠が多く性能も高い神器が
まれに登場し、遠目に見ても分かるようになっている。
見つけたときにテンションが上がる程度にちゃんと強い。

●【感情面】明確なレアアイテムが遠くから見えたり
音で知らせてくれるとしっかりテンションが上がる!




【バランス】『デッ怪』が登場する、スリルある
ステルス攻略フロアが登場、「夜」システムの進化系?


過去作のシレン5では「夜システム」という、時間が経つと夜になって
めちゃめちゃ強い敵だらけになる代わりに、シレン側も回数制限ありで
強力な技を使えるようになるという状況が一定頻度で発生する局面がありました。

基本的には「敵になるべく合わないように進んでね」「技を活用して進んでね」
というステージだったと思いますが、それまでのプレイの文脈と
だいぶ切り離された状況になる部分もあり、好みが分かれるシステムでした。

今回はその夜システムと似た立ち位置のシステムなのか、
『デッ怪』という存在がダンジョンにまれに登場するようになっています。

『デッ怪』は工夫しないとまともに倒せない巨大な敵で、
攻撃力もすさまじい代わりに、鈍足でしか行動しない敵です。
プレイヤーは「うわああああ!」と言いながら
そのフロア中で『デッ怪』から逃げまわることになります。

『デッ怪』は一定時間で消えますが、『デッ怪ホール』という
ミニマップに常時表示される穴から何度でも召喚されます。
一見、ただのお邪魔キャラクターが出るだけのシステムのように思えます。


【でもちゃんとリスクとリターンがある挑戦ステージだった】
が! 後で知ったのですが、実はこの『デッ怪』にやられないように
フロアを全部回ると『デッ怪』ホールが消えてほどほどに良いアイテムが
もらえるっぽくて、新たなステルス挑戦フロアという形式になっていることが分かりました。

それを知ると「味変(あじへん)の一つとしてこういうのもアリだなあ!」と思ったのですが、
初回プレイ時はそのメリットや、『デッ怪』ホールのつぶし方に気付きませんでした。

先にゲーム内で教えてもらっていたらワクワクしながら挑めたと思うので、
「目立つように報酬があることを情報公開してもらってもよかったかも?」
とは感じましたが、どこかで説明があったのを見逃したか、
見ても覚えてなかっただけかもしれませんね。


この『デッ怪』は、従来の「夜システム」で目指したかったかもしれない
『強い敵がいる中をドキドキしながら進む楽しみ』の方向性をそのままに、
より面白さが生まれる形にブラッシュアップされたものになった印象で、
リスクとリターンが分かるとワクワクできます。

以前狙った内容を良い方向に再構成されている見本として、
これは開発者として勇気をもらえる部分です。
「体験させたい感情」は同じでも、より良いやり方はきっと色々あるんだ!
という希望が持てます。



【バランス(これは昔から)】「腐ったおにぎり」という存在の納得感

これはたぶん初代からなので、シレン6特有の話ではなく伝統的な話なのですが、
「あーこれは納得感の強いバランスだなあ!」と感じられたので取り上げておきます。

シレンシリーズには、『腐ったおにぎり』という食料アイテムがあります。
デロデロの罠などを受けておにぎり系アイテムが腐るとこうなってしまいます。

食べると「混乱」「睡眠」「目つぶし」「まどわし」「力が3下がる」という
ペナルティのいずれか1つを受けますが、満腹度は一定量回復します。
どうしても食べるものがないときはこれのお世話になるわけですね。

で、何がいいかってこの『腐ったおにぎり』、「ちから-3」みたいな
最も被害が大きいハズレ被害を引く確率って、
おそらく20%しかないっぽいことなんですよ!

他のペナルティも、敵が10ターン以内に来ないところで食べれば
仮に目が見えなくなってもすぐ回復して何の被害も受けませんし、
仮にハズレを引いて「ちから」が下がったとしても、「背中の壺」や
「毒消し草」みたいなアイテムでちからを回復する方法もあります。

そして満腹度自体はちゃんと増えるので、
「2割くらいでしか後遺症リスクがないなら許容できるし、
工夫して食べれば問題が起きにくいのはいいなあ」と私も感じられたので、
良いデメリットの作り方として注目すべき部分だな!
というのを今になって感心していました。


なお、『腐ったおにぎり』をプラス効果の『焼きおにぎり』というアイテムに
変換する方法もあるので、『腐ったおにぎり』を持ち続けるという
選択肢にも意味があります。

こんな風に、「デメリットはほどほどなので気軽に食べることもできる」
「焼けるチャンスを待って置いておく選択肢もある」と、複数の選択肢に
ちゃんとバランスのよいメリットデメリットがあるので、
『腐ったおにぎり』はすばらしいデザインのアイテムだ! と感じたのでした。

【プラス効果のランダム効果として強い効果も入れられる】
ちなみにこの逆で、『特製おにぎり』という、食べると
「腹減らず状態」「しのび足状態」「拾い識別状態」「HP全回復」という
4つの良い効果の中から1つが抽選されるプラス面のおにぎりもあります。

特にその中の効果の一つ、「拾い識別(そのフロア中、拾ったものを自動識別できる)」
が付くと、高難度の完全未識別ダンジョンで超有利になったりするので、
こちらも興奮度が高いです!

が、おそらく25%でしかそれを引けないので、強すぎるのはそうなんですが
プレイ全体を通して見るとそこまで強すぎるわけでもありません。

こういったランダム効果もうまく設定できると「やった!」と
プレイヤー感情をゆさぶるのに使えそうなので、よく覚えておきたいと思います。



【配慮】マップに「通ったマス」が表示される!

さて、ここからは配慮のお話! まずマップに通ったマスが表示されます!
なんてすばらしいんだ!

何がいいって、このゲームは「罠」という見えないトラップが部屋に
存在するため、一回通過したマスは安全地帯になるんですよ。
次からは、一度通ったマスを通れば罠に遭遇することはありません。

が、過去作では通ってきたマスなんていちいち全部覚えているわけもなく、
必死になってそれを覚えている方が探索においていくらか
有利になってしまうというずいぶんな記憶ゲーになっていました。
といいますか、さすがに私は面倒で、記憶することをを諦めていました。

ですが今回は「通ったマス」がミニマップを見れば分かるようになっているので、
記憶力に頼る時代は終わりました! いい時代です!
そう、「記憶すべき内容」はツールに頼って、我々は
創造的な作業や判断力を要求される作業をやるべきなんですよ!



【配慮】戦闘テンポがいい! メニューもいつも通り瞬間!

戦闘テンポがよく、メニューもいつも通り瞬間展開されます! 
攻撃モーションは素早く、『片道勇者』と同じかそれ以上の
戦闘テンポなので遊びやすい!
メニュー表示も一瞬で、メインの操作テンポ周りの
不満点は何も思いつきませんでした。

このあたりは基本といえば基本なんですが、
プレイ時のほぼ全ての操作に影響してくるので最重要部分です!
自分も常々、気をつけていきたい点です。



【配慮】一回戦った敵のHPと攻撃力と特殊能力が図鑑で分かる! 敵ダメージも推定可能!

シレン6では、冒険中でも敵の能力を図鑑で簡単に見られるようになりました。
特殊能力についての説明もかなり詳しめに書かれています。

 ※「そんな仕様あったの!」と言われそうな内容も網羅!



特にこの図鑑、遠くからでもいいので新たな敵に一度攻撃すれば、
その時点で図鑑から敵のHPや攻撃力などが確認できるようになるのがあまりに強力!

被ダメージも「敵の攻撃力-シレンの盾防御力」で
計算できる感じだったので戦闘の見通しが立てやすくなっており、
ローグライク作品として非常に遊びやすくなっています。
体を張ってダメージを受けて敵データを学んでいく必要性が
薄くなっており、これこそ時間のない現代人向けの素敵な仕様です!

そしてなにより、マップ上から「見渡す」で敵にカーソルを合わせれば
すぐ図鑑にアクセスできるので、HPや攻撃力や特殊能力を
すぐに思い出すことが可能です。
近付いたら超ダメージを与えてくるかもしれない相手もすぐ分かって安全!

「いちいち図鑑を確認する」という工程を要求される部分は
ゲーマー向きかもしれませんが、こだわる人に対するローグライクとしての
「フェアさ」が行きすぎているほどに便利ですばらしすぎる!

ここまでの仕様は私もなかなか真似できない部分ですが、
複雑な能力を持ったモンスターを出現させたり、急に攻撃力の高い
モンスターを出したりするゲームなら、これに近い配慮は
しっかり入れた方がよさそうだと感じます。

 ちなみに『片道勇者プラス』でもこの図鑑ほどできていないにせよ、
大ダメージを与えてくる敵は先に教えないとフェアさが足りないと思ったので
「危険な攻撃力の敵は赤く点滅して遠目にも分かるようになっている」
みたいな配慮を入れて対応していました。




【配慮】一度見たアイテムの価格や売値が図鑑で分かる! もう値段を覚えなくていい!

上と同じく、アイテムの効果や、
「価格」や「売値」も冒険中に確認できるようになりました!
これまで攻略本を見なければ分からなかったことが
ゲーム内で分かるようになっており、遊び手視点で非常に感動しました。

特に上級難易度のダンジョンでは値段でアイテムの識別をする場面が
増えてくるので、それをチェックできるのはすばらしい!

従来は、なかなかここまでゲーム内での情報公開が
されてこなかった印象があるので、ここに来て殻を一枚やぶってくれた感触があります。
こういったデータ面での配慮は、私も参考にしたいくらいです。

わがままを言うなら、さらに一歩進んで買い物時に
「過去に見たどのアイテムの値段と一致してたか」の候補まで
出てたら超最高でしたが、さすがにそこは自分でチェックしましょうって感じでした。
自分でローグライクを作るときは、そこまでこだわれそうなら
開発こだわりポイントになるかもしれませんね。



【配慮】攻略したダンジョンの敵テーブルが見られる!

踏破したダンジョンのフロアは、
敵の出現テーブルが見られるようになります! すごい!

実際に出会ったモンスターだけしか表示されませんが、
前述の通り、敵の詳細スペックも見られるのでもはや攻略本が必要ありません!
なんということだ!
いやそもそもWikiに駆逐されてて攻略本が出せるご時世なのか分かりませんが!

敗北しても、あとからデータを見て攻略プランを練ることができるのはすばらしいと思います。
実装もきっと面倒臭いでしょうに、よくがんばってくれました! ありがたい!



追記:【バランス】通常攻撃は簡単に命中率100%にできないらしく、
良い意味で緊張感ゼロにさせない信念を貫いている


どうも今作、これまでにあった『必中の剣』みたいな100%必中の
「武器」や「印(効果)」がだいぶ入手困難になったっぽくて、
通常攻撃戦闘においての「確実性」を実現するのが
かなり難しくなった印象があります。

必中効果、存在するのは存在するらしいのですが、
SNSで見た感じ特定の裏ダンジョンでしか出ないという感触で、
私はいまだに見たことがありません。
2024-2-2時点で攻略サイトを見てみても「必中の印」の情報が
まだ載ってなかったり、あるいはアイコン画像が歯抜けになっている
(攻略班が撮影できてない?)くらいですからよほどなのでしょう。

おそらく確率面の緊張感をゼロにしない意図で
『ノーコストの行動に100%の安心感を作れていた』要素への
アクセスを難しくしたのではないかと思いますが、こういう細かいところまで
対応してるのは『なるべく多い時間、緊張感の維持をさせたい』という
意図を貫いてる感じでしっかりしてるなあ! と思ってしまいました。

あまり詳しくないのですが、従来は『必中の剣』系は
最初の30Fダンジョンでも割と入手しやすそうなアイテムだった記憶があります。

「100%の確実性を得られるのは『杖や巻物などのアイテムを消費』する場合だけ」
という風にほぼ固めて、『通常攻撃には小さくとも確率的な不安要素を
残したり、攻撃を外した場合のサブプランを想定させるようにして緊張感を生み続ける』


アクセスしにくくされた要素からも、プレイヤーにどう感じさせたいかの意図が
にじみでていて、強い信念のもとで取捨選択や取得難易度の設定が
行われたのだなというのが感じられます。



追記:【バランス】裏ダンジョンがこれまでよりなじみやすそうに感じられる!

現在、大量に出てきたクリア後ダンジョンなども眺めているのですが、
今作はクリア後ダンジョンの
「段階的に『もっと不思議』に慣れさせようとしてる配慮」
が優れていそうだったり、
「これなら楽しく遊べそうかな?」感がしっかりにじみでてたりと、
ガチ性よりも面白さにちゃんと振ってる感じがあって、
遊ぶ前からワクワクをかきたてられています。従来作よりもです!

いや、その、これまでの裏ダンジョンって私みたいなライトプレイヤーだと
「元気なときにやろうかな」ってなっちゃってなかなか
触る気力が出なかったところもあるんですよ!
プレイテンポが今回ほどでなかったのが心理的にジワジワと
モチベーションを削っていた、などの要因も密かにあったかもしれませんが。

でも今回は、草や巻物なども未識別になってしまう
「もっと不思議」系のダンジョンでも、一部のダンジョンは
完全に未識別なわけではなく、
「未識別アイテムにカーソルを合わせると3択の識別候補が示されて、
どれかを推測する」という段階が間に入ってたりして
とても遊びやすそうです! これを考えた人すごい!


こういった「なじみやすさを上げようとしている部分」の肌感覚は
プレイに慣れてしまうと忘れがちで、かつ開発側だと真っ先に
意識からはずれやすい部分なので、こういう配慮をすべきであることは
しっかり記憶に焼き付けておきたいと思います。



以上、ちょっと遊んで感じた点をとりとめもなく書いてみましたが、いかがだったでしょうか。
私がこう感じたという話なので「いやそこは解釈違いだよー」などは
あるかもしれませんが、たとえ誤解でもゲーム開発の
役に立ちそうな意図をたくさん得られた気がします。

シレン6は全体を通して、「感情をゆさぶる仕組み作り」が従来以上に上手だったり、
「(作るのも手間がかかりそうなのに)あればうれしい補助機能」が
存分に搭載されてたりと、満足の塊みたいな一作でした!

過去作と比べるだけでも、感心するほどたくさんの配慮や、
盛り上げるための様々な仕組みが取り入れられており、
ゲームのブラッシュアップとはこうするんだぞ、
というすばらしいお手本を見せてもらった気がします。


私がどこまで学べるか分かりませんが、
すばらしい意図はいくらでも使えるようになりたい!
できる部分から、吸収できるところはしっかり学んでいきたいと思います。
 2024-02-03 (土) web拍手 by FC2 カテゴリ: 開発日誌
2024年02月


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