シルバーセカンド開発日誌
 ここはゲーム開発者SmokingWOLF(スモーキングウルフ)の開発日誌です。
 【現在の目標】→ ウディタ3.5のバグを落ち着かせる! & 『片道勇者2』の開発!
 ※以前のブログが使えなくなったので、ただいまこの開発日誌に移転中です。
ウディタ 3/6

2024-10-19 (土)   続々ウディタ3.5開発中 経路探索&キャラレイヤー強化ほか!
 引き続きウディタ3.5への改修作業を続行中です!(3.40呼びしてましたが搭載予定の新機能が多くなりすぎるので、3と4の中間大規模修正として「3.5」呼びにすることにしました)

 ここまでにご紹介した目玉新機能は「空イベントの生成機能」「フォント暗号化」など!
 今回も、「作れる内容」や「作り方」が大きく変わる目玉の新機能が続々登場です!


◆ウディタ3.5の新機能予告、続き!

【○経路探索機能!】

 まず「経路探索機能」とは、スタートとゴールの座標だけ指示したら、ゴールまでの道順を自動的に算出してくれる機能のこと!
 紹介動画を作りましたので、見られる方はまずそちらをご覧ください! 直感的に理解できると思います。



 私の環境だと、迷路みたいな道でも500マスまで先の道の経路を1msくらいで算出可能でした!(1フレーム16.6msなので、それを超えない処理時間に抑えれば処理落ちはしないことになります)

 まともにコモンイベントとして作ると10マスくらいの経路探索でも重くなることがあるので、この速度で動作する経路探索処理が基本機能として使えるのはかなり大きいと思います。



-【どういう場面で使える?】

 経路探索が簡単にできれば、以下のような処理の実現可能性がグッと上がります!

●マウスクリックした地点まで、NPCや障害物を避けてキャラを移動させることが簡単に!
 
●ガイドボタンを押すと次の目標地点までの道順がラインで表示される、みたいな演出も当然可能!
 
●生活系ゲームで、キャラがベッドから起きて仕事場に行って食堂でご飯食べてまたベッドに戻る、みたいな処理だって従来より非常に簡単に作れます!
 
●建物も自分で設置できるクラフトゲームや開拓シミュレーションゲームでも、経路を自動認識して移動させることが簡単に! 木こりして指定箇所に木材を運ぶ、みたいな処理も実現しやすく!
 
●ローグライク(不思議のダンジョン)系ゲームでも、モンスターの移動経路や最短の接近ルートが簡単に算出可能になります!
 
●タワーディフェンスゲームで「敵の侵攻ルート」を算出したり、「自分の設置物で敵のルートが変わる」「ちゃんと味方陣地までの経路が空いているかを調べる」といった処理も低コストで実現可能になります!
 
●追いかけっこ展開でも障害物を避けて移動可能です!





-【経路探索機能の使い方】

 使い方はちょっとマニアックです!
 たとえば「文字列操作」の「隠しコード実行」コマンド(Ver3.5で搭載されます)から

 <<FIND_PATH_DIR8_SX=1/SY=2/EX=6/EY=5>>

 と指定すると、マップの(1,2)座標[SX=/SY=の値]から(6,5)座標[EX=/EY=の値]までの道順を、以下のような文字列として得ることができます。

  966662222/END

 算出された移動経路は、テンキーに対応した1~9の方向を羅列した文字列で示されています。
 9なら「右上」、6なら「右」、2なら「下」なので、上の経路は【スタート地点の(1,2)座標から右上、右、右、右、右、下へ4歩すると(6,5)に着きます】という意味になります。

 方向じゃなくて1歩ずつの座標で知りたいよ! という人も安心! 隠しコードに「/POS」を追加すれば、以下のように得られる経路の文字列が「1歩ずつの座標」として返されます。

 <<FIND_PATH_DIR8_SX=1/SY=2/EX=6/EY=5/POS>>
  ↓結果
 2,1/3,1/4,1/5,1/6,1/6,2/6,3/6,4/6,5/END

 あとは「文字列操作」でいいように切り取って使ってください! という感じです!

 なお、この経路探索は今のところ「1マスごと」の処理のみ可能です。1マスまるまる通行可能でないマスの場合、「通行できる」と認識されない可能性があるので、そこは注意してください。




-【イベントの当たり判定を考慮した経路計算も可能!】

 このコマンド、素のまま使うと「マップの通行判定だけ」を考慮したルートを算出するのですが、隠しコードに「/EV=-2」(-2=主人公、ここには動かすイベントのIDを入れる)と入れると、『イベントの当たり判定を考慮した経路』を算出できます!
 <<FIND_PATH_DIR8_SX=1/SY=2/EX=6/EY=5/EV=-2>>みたいな感じですね。マップイベントを動かしたいときは、マップイベントID3なら/EV=3みたいに指定します。

 以下の投稿みたいに、多数の猫が上下してる道でも猫を避けて移動が可能です! ただしイベントのように動くものも考慮する場合、毎フレーム経路を計算しなおさないといけませんので、計算負荷は上がります。




-【経路探索にはどういうアルゴリズムを使ってるの?】

 ここは余談ですが、経路探索アルゴリズムとしては、高速に最短経路の近似解を求められる「A*(エースター)」アルゴリズム(Wikipedia、処理見本アニメあり)を使用させていただいております。
 すごく簡単に言うと、「目的地への道の中で、より近そうな道から優先して探すことで、全ての道を試すよりもずっと速く経路を見つけられる」という仕組みのアルゴリズムです。
 ただし、このアルゴリズムで得られるのはあくまで近似解なので、常に「【最も短い】経路」が算出できるとは限らないことに注意してください。2番目くらいの距離の道を最終結果として返すことも多いです。
 ですがプロのゲーム開発の現場でも使われているくらいの優秀なアルゴリズムで、だいたいは良い経路を算出してくれます。多少最適じゃない道を出しても、ゲームという媒体なら「キャラやナビがポンコツだから」などで説明できますから安心!(?)




-【いずれはもっと簡単に使えるようにしたい!】

 こんな風に隠しコードを使ったり、「文字列操作」を駆使しなければならないことから、いまのところ経路探索機能は『自作システムを組める人向け』の機能と言えます!

 が! もし(私の作業負荷とゲーム内負荷の両方の意味で)軽い負荷で作れそうなら、「動作指定」内に、目標地点まで自動で移動してくれる「自動移動」処理なども入れたいなあと考えています。
 うまくいけば、一歩ずつ歩く方向を指定する必要があった時代が終わるかもしれません! そうなればイベントシーンの作成負荷も大幅削減されますよね。

 ということで、自作システム作者さまにも普段使いの方にも夢が広がる経路探索機能の搭載、お楽しみに!




【○キャラチップレイヤー機能が強化! レイヤー無制限化+サイズ不問+1レイヤーごとにエフェクト可能に!】

 ずっと『(α版)』と書いてあった「重ねキャラチップ」機能ですが、今回の修正でたくさん進化して正式版となります!
 こちらも映像を作りましたのでよければご覧ください!




-【レイヤー5枚制限が撤廃、無制限に! レイヤー番号も好きに指定可】

 これまではキャラの「上」のみに5枚までしか置けなかったキャラチップレイヤーですが、これからはキャラの「上下」に「無制限に」重ねられるようになります!
 さらにレイヤー「-1000」みたいに好きな番号を入れても問題なく動作します!
 扱いがかなり雑でもよくなったので、キャラメイク系のゲームでもキャラチップに色んな服を着せたり武器を持たせたりできるようになるでしょう。



-【キャラ本体の裏側にも追加可能に】

 さっきもチラっと言いましたが、キャラの「裏側」にもレイヤーを追加可能です!
 あとから表にも裏にも好きに追加できるので、これまでのような少ない枚数をギリギリで運用する必要がなくなります。ザツに管理できるのは大事!



-【重ねる画像サイズが自由に!】

 これまでは「重ねるキャラチップ」は『本体とまったく同じ画像サイズ』でなければダメでしたが、最新版ではそこが自由になります!
 ちょっとくらいフォーマットが違ってても大丈夫! 
 本体よりだいぶ大きい乗り物に乗せることだって可能になります。



-【1レイヤーごとに色を変えたりXY座標をずらしたりできるように!】

 さらにレイヤー1枚ごとに色相や彩度、明るさを変えたり、XY座標をずらしたりが可能になります!
 色違いの服を用意する必要はなくなりますし、レイヤーごとに多少のずれがあった場合はこれで補正可能です! これで開発コスト削減!
 やり方は以下のように、画像ファイルの前に<>で挟んでオプションを指定するだけ!

 <X+=4/Y+=-2/HUE=90>CharaChip/Chicken.png
 この例だとX座標に+4、Y座標に-2、色相90(0~360の範囲)の補正をかけたChicken.pngのレイヤーが表示されます。

 他にも、/HALFと入れると画像サイズを半分にしたりできます! ウルファールを1/2サイズにちっちゃくして船に乗せたりも!





【○『ピクチャ挙動Ver2』が搭載!】

 これまでのピクチャ挙動は、「表示」時の挙動が状況次第で違ってややこしかったり、ピクチャを挟めるレイヤーが少なかったりして少し不便でした。
 同じIDのピクチャを使った場合、文字列ピクチャを「表示」し直すたびに不透明度ゼロから表示され直したり、文字列から画像ピクチャを出すとワープしたり、画像ピクチャから画像ピクチャを出すとワープせずに移動したりと一貫性がありません! 「消去」指示すると「移動予定先」にワープしてから消えるという変な動作もありました。

 なので、ここでいろいろ整理しようと『ピクチャ挙動Ver2』の搭載を決定しました!
 Ver1の旧挙動とVer2では、以下のような挙動の差があります。


●これまでのピクチャ挙動Ver1[旧挙動]
レイヤー挙動:ピクチャ番号マイナス時の表示レイヤーが以下のようになります。
 「-1~-99999の場合は『キャラの下 ・ マップの上』に表示」
 「-100000以下の場合は『マップの下 ・ 遠景の上』に表示」
 
【表示】コマンド時の挙動
 すでに同IDでピクチャが表示されている場合、「異なる画像で【表示】」または「文字列ピクチャの【表示】」をした場合に、
 - 処理時間が残ってる状態だと『不透明度』が「直前のピクチャ指定時点の値の状態に戻る」
 - 文字列から画像、画像から文字列、文字列から文字列に切り替わるときに「新しい場所に瞬間表示される」という挙動になります。
 - 「ファイル読込ピクチャ」で全く同じ画像を【表示】した場合のみ、【移動】と同じ処理になります。
 - 他にも、「処理時間」ありで「消去」されるときは「移動予定先に瞬間移動して消え始める」という挙動になっています。
 という具合になかなかのカオス具合になっていました。


 ↓

●ピクチャ挙動Ver2[ver3.5以降]
レイヤー挙動:ピクチャ番号マイナス時の表示レイヤーが以下のようになります。
 「-1~-99999なら『フォグの下 ・ ★マップチップの上』に表示」
 「-100000~-199999なら『★マップチップより下 ・ キャラや▲マップチップの上』に表示」
 「-200000~-299999なら『キャラや▲マップチップより下 ・ マップの上』に表示」
 「-300000~-399999なら『マップより下 ・ 遠景の上』に表示」
 「-400000以下なら『遠景の下』に表示」
 
【表示】コマンド時の挙動
 すでに同じIDでピクチャが表示されている場合、処理途中でも「座標」や「不透明度」はその瞬間のパラメータを常に引き継いで処理されます。
 - すでにピクチャ表示済みの場合、常に【移動】コマンドと同等の処理が行われます。シンプル!
 - また「処理時間」ありで「消去」される場合も、「実行された瞬間の座標」で止まって消去される自然な動作になります。





 という感じです! これまで開発されていた方はVer1のままにしておく方が安全ですが、今後の新作開発ではVer2をご利用になることをおすすめします!
 特に「★チップの下・キャラの上」あたりのレイヤーは従来ではピクチャを挟むことができなかったので、ムズムズしてた人も多いと思います。
 今後はもうちょっとピクチャも扱いやすくなると思います!




【○マップだけをピクチャに取り込む『<MAP_SCREENSHOT>』機能が搭載!】

 すでにVer3.0で、画面全体をピクチャとして取り込んで使える「<SCREENSHOT>」機能が搭載されましたが、Ver3.5ではマップ画面だけを取り込む「<MAP_SCREENSHOT>」機能が搭載されます!
 使い方はピクチャの画像ファイル名に、「<MAP_SCREENSHOT>」と入れるだけ!
 そうするとその瞬間のマップがピクチャとして表示できます!



【「全画面取り込みと変わらないんじゃ?」って? いえいえ違うんですよ!】
 このマップ取り込み機能、画面全体を取り込むのとあんまり変わらないように見えますが、重要なのは「ID0以上のピクチャを無視できる」という点!
 というのも、全画面を取り込んだピクチャを毎フレーム更新したりすると「2フレーム目から出した全画面ピクチャそのものも取り込んで表示してしまうので見た目がカオスになっていく」という問題があったのです! 絶妙に使いにくい!

 ですが今回取得可能になったのは「マップのみ」なので、これを使えば「メニューやメッセージウィンドウ」、「直前に出した全画面ピクチャ」を取り込んだりせず、きれいなマップだけが使えます! よって、さらに画面取り込みの使い勝手がよくなるわけです!


【<MAP_SCREENSHOT>で何ができる?】
 マップのみを毎フレーム「表示」し直せば、当然リアルタイムのマップがピクチャとして好きに表示可能! これでできる表現の幅も格段に広がります!
 たとえば何に使えるかというと、演出強化の面では「画面を斜めや上下逆さにしたり」「サイケな画面演出や崩れたマップ画面を演出したり(細かくパターン分割して座標をずらしたり動かしたり、個別に色変えしたり)」「【イラスト上のディスプレイ画面】にマップ画面を自由変形ではめ込みしたり、その状態のままゲームを続行させたり」なんてことも可能になります!
 他にもプレイ面での強化としては「広大な範囲の全マップを裏で出しておいて、プレイ時はそれをCUT機能で切り出してピクチャ拡大して表示し、別々の場所で起きていることを分割映像で見せる」なんてことも実現可能です。「ダンジョンに侵入者が入ってきた! 今の侵入者はこういう動きをしている!(侵入者付近のマップ画面を切り取ってピクチャ表示する)」なんていうライブカメラ的な演出もできます! 画面内に全マップをおさめるのがちょっと難しいですけども。


【ミニマップ作りにも!】
 さらにマニアックな話をすると、ウディタにおける「マップ画面」とはすなわちピクチャIDが「-1」以下のレイヤーでもあります!
 つまり『マイナスのピクチャでお絵かきした内容をで保存しておいて使う』という画像バッファみたいな使い方も可能!

 特に便利そうな用途として考えられるのがマップごとの「ミニマップ」自動生成機能です! マップに侵入した際やロードした際、裏でミニマップの画像を作って「」で撮影しておき、あとはそれを「切り出し」表示したり「マスク」を使ったりして表に表示することで、良い感じにミニマップ自動生成&表示ができそうです!

 実装できる技術さえあればアイデアは無限大! ぜひ色々考えてみてください!



 という感じで、ここまででさえ、「作り方そのもの」や「作れるゲームの幅」まで変わってしまう修正が盛りだくさん!

 私の介護もいったん終わり、長時間集中し続けてもよくて夜ずっと寝られる環境を得たことで5年ぶりくらいに全力が出せるようになってるので、プログラミング筋(きん)も絶好調です!
 さらに他の新機能にもチャレンジしていきますのでお楽しみに!


 便利度が上がるたびに「なんで自分の『片道勇者2』の開発でこれがなかったんだよォォォォー!」ってすでに何回か叫んでいますが、もっと自分が叫んじゃうような新機能も入れていきたいですね。
 引き続きがんばります! 次回の新機能紹介もこれに劣らないものが出せればと思いますので、お楽しみに!
 2024-10-19 (土) web拍手 by FC2 カテゴリ: ウディタ




2024-10-05 (土)   続、ウディタ中規模アップデート作業中!
 ということでずっとみっちりウディタの修正作業中です!
 セキュリティ周りみたいな、「表にご報告しにくい割に膨大な作業量の場所」はおおよそ済んだので、あとは楽しい新機能搭載フェイズ、というところです!

 今回はここまでに実装に成功した、ちょっと興味深いであろう新機能についてご紹介していきます!


◆Ver3.40の新機能、一部紹介!

【空のイベント作成機能(※裏技)】

 一部の人から割と待望されていた「空のイベント」を作る機能が搭載されます! うまくコマンドにおさまらなかったので文字列操作の隠し機能による裏技になってしまいましたが上級者の方しか使わないと思うので問題ないはず!
(隠し機能:「文字列操作」の「に↓のファイル内容読込」を選んで「<<」から始まる裏コードを入れると使える機能)

↓空イベント生成コマンドの開発中デモ。大量の夕一が新イベントとして生成されています。まだ開発途中なせいで初期位置が(0,0)になっており目標位置までニワトリがコンベア出荷されてるように見えますが、完成版では目標位置に「瞬間表示」で出現します


 この『空イベント生成機能』、使い方としては「文字列操作」の「に↓のファイル内容読込」に隠しコードとして

<<MAKE_EVENT_X=4/Y=2/TR=1>>
CharaChip/[Chara]Animal_Chicken.png
(※続けて1行で入力)

 みたいに指定すると、座標(4,2)に、「決定キーで起動」(TR=1)する、画像「CharaChip/[Chara]Animal_Chicken.png」の新イベントを設置することができます!
 XY座標や画像だけでなく、イベントの「起動条件」も(TR=1:決定キー、2:プレイヤー接触、3:イベント接触)から指定できます。

 「でも生成されたイベントはコマンドが空だから『起動条件』なんて関係なくない!?」と思われるかもしれませんが、今回の中規模修正でプレイヤーが起動した空イベントのIDを検出できるようにする予定なので、意味はあります!
 空イベントでも「起動さえ検知」できれば、熟練者の方なら何とでもしようがあるはず!
(たとえば「変数操作+」の中に「今フレームの決定キー/接触で起動したマップEvID」を得られるコマンドを新たに付けたりすれば実現できると見込んでいます)

 これらの機能を駆使すれば、究極的にはマップエディタで1キャラも置かなくったってイベントを配置・制御できるようになります!
 ただしイベントの最大配置数は「10000個まで」となっておりますので、そこはご注意を。

 また、「生成されたイベントID」も返り値として得られるので、そこもご安心ください(文字列変数に"12"みたいな文字列が入るので、「変数操作」を使って数値に変換してください)


【ついでに「イベント削除機能」も搭載!(ただし空イベントのみ)】
 ちなみにイベント生成機能に対して、「イベント削除機能(<<DELETE_EVENT_ID>>(イベントID) )」も作りました。ただし、こちらは実質「空イベント」しか消せません。
 コマンド実行途中のイベントが消えるとクラッシュしてしまうことが分かったので、「何もイベントコマンドを持っていない」「ページ1つだけ」かつ「自動起動でも並列起動でもない」のイベントの場合だけ削除可能となっています。



【このイベント生成・削除機能で何ができるか?】
 で、空イベントが生成できると何がいいかって、色々あるんですよ! たとえば以下のような用途が考えられます。


●『牧場物語』系みたいな「作物が無限に出てくるゲーム」や、「キャラやアイテムが置き放題なオープンワールドゲーム」を作る場合でも、あらかじめ空のイベントを大量に作っておく必要がなくなります!
 これまではその用途でマップイベントを使うために、マップに5000個(エディタの限界数)の空イベントを作られたという方もいらっしゃいますからね! これからはそういったことをしなくても、必要なときに空イベントを作れば大丈夫になるわけです。

●他にも、「どのマップに行っても100人くらい仲間がついてくる」とか、「そもそも特定マップに固定配置のキャラがいなくて、みんな常にどこかの色んなマップを歩き回っている」ようなRPGを作るときだって便利になります!

●「マップチップの一部をキャラチップで代用したい」場合にも有用です!
 マップチップの「タグ」に応じて「自動でその場所にマップイベントを配置し直したりする」なんてことも少ない作業数で実現できるようになるので、マニアックな配置をしたいときでも安心です!
(さっきのMAKE_EVENTコマンドの画像指定で4みたいに入れるとタイル画像が設定できます)


 従来でも、これらはどれも「全マップに大量の空イベントを作っておく」ことで対応可能な案件ではありましたが、そんなことまでして作りたくない場面も多かったでしょうから、今後はそういった作業が必要だった作品ももっと作りやすくなるはずです!
 すでに「夢が広がる~」とおっしゃっている方は、そういうところで挫折した経験や苦労された経験がお有りなのだと思います。今後はそこもラクになりますよ!




【ファイル個別暗号化(プロ版機能)で「フォント暗号化」ができた!】

 「ファイル個別暗号化機能(復号キーなどを設定して.wolfxファイルに変換できる)」自体は前回もご紹介しましたが、それで得られた副産物として、『フォント暗号化』が可能になりました!

 たとえば「UmePlusGothic.ttf」をファイル個別暗号化すると「UmePlusGothic.ttf.wolfx」ファイルに変換されるわけですが、これをGamePro.exeと同じ場所や、Dataフォルダ内に入れておくと、普通のttfファイルと同じく起動時に読み込みが可能です!
 それでいてttf.wolfxは暗号化されているので、直接Windowsで読み込むことはできなくなります。ファイル名も「Font1.ttf.wolx」みたいに変えれば何のフォントを使っているかも分からなくなるでしょう。

 こういう形で使えば「二次利用可能な形での再配布」ではなくなるらしいので、ある程度は使えるフォントの幅も広がると思います。もちろん、フォントごとの規約はしっかり守ってくださいね!
 ただしこの「ファイル個別暗号化」機能は『プロ版専用』なので、その点はあらかじめご了承ください。ウディコンなどでは使えないってことですね。




【エディターのウィンドウサイズの調整や、フォント切り替え(2種)ができるようになった!】

 「エディターオプション」からエディターのウィンドウサイズを調整できるようになりました!
 「マップイベントウィンドウ」や「イベントコマンド挿入ウィンドウ」が思ったより幅を取るからあと1割だけ小さくしたいんだけど……という私みたいな人や、3840ディスプレイ持ってるけどWindowsの拡大率100%だとだとウディタ画面が小さすぎるよぉぉ! という人のために搭載されます!

 といっても技術的な都合で拡大できない場所もあるのでそこはご了承ください。いつも見るであろう「マップ/コモンイベントウィンドウ」や「データベースウィンドウ」、「コマンド入力ウィンドウ」あたりは押さえてありますが、メニューアイコンや上部メニュー欄などの拡大縮小はちょっと難しそうだったのでできていません。


【エディターのフォント変更機能】
 あとフォント変更も2種から選択可能に!
 これまでは「MS UIゴシック」というカクカクフォントでしたが、これからは「Meiryo UI」というなめらかフォントも選べるようになります! また、「太字」への切り替えもできますよ。






【「マップエディタ」や「場所移動の移動先選択」で「x2」拡大モードを追加!】

 これもディスプレイの画面解像度が上がってきた時代に対応するためのもので、マップチップを1/1よりさらに大きい「x2」ズームで表示できるようになります!
 一見簡単に作れそうに見えましたが、ちょっとやりかけたらすごい作業量が必要だったので今回のチャンスを待っていた部分です。需要はそこまで高くなかったかもしれませんが、この機会に入れられて何よりです。





 という感じで、今も毎日全力でウディタ修正中です!
 いつものことですが早く終わらせないと作業の時給換算がマズいですからね! それが全力で頑張れる動機になっているのは良いことではあるんですが。

 実装に成功すれば紹介に値するであろう新機能の予定は他にもありますので、引き続きお楽しみに!
 2024-10-05 (土) web拍手 by FC2 カテゴリ: ウディタ




2024-09-20 (金)   ウディタVer3.4へ中規模修正中!+セキュリティ話
 ということで現在ウディタがVer3.3台からVer3.40に変わるので、この機会に中規模アップデートしようと作業中です!
 

◆Ver3.40で何がアップデートされそう?

 今回のアップデートでは大きな目玉要素はないかもしれませんが、「まとまった修正ができるならやっておこうかな」と思ってためていた内容の実装を進めていく予定です。
 リソース的・技術的にやれるか分からない挑戦も多いので実装されない可能性もありますが、今回は有力そうな一部をご紹介していきます。



【キャラチップレイヤーの指定を自由なレイヤー±値で設定できないか挑戦】

 キャラチップレイヤーは元のキャラチップに1~5レイヤーで別のキャラチップ、たとえば服や手持ち武器などを重ねる機能です。
 従来は「元画像から上」の「1~5レイヤー」だけの狭い範囲、少ない枚数に画像を上乗せするだけでしたが、今後、『レイヤー「-1」や「-10000」みたいに裏側へ出せたり、無制限な値・枚数を入れても普通に使える』ようにできればだいぶ実用的になるはずです! と思って機能改修を検討しています!
 追加で、キャラチップレイヤー処理で『レイヤー「0」を指定すれば本体チップをいじれる』ようにしておくのも汎用性の面でよさそうですね。
(ただし現状、「同じチップサイズ」じゃないと重ねられないのは従来通りになりそうですのでそこはご注意を! これに対応しようとしたら問題が山ほど噴出したのでまだ難しいです)



【変数操作の機能追加】

 代入演算子に「=√[x1000]」を入れたり、右辺の計算に「ビット和(論理和)」「排他ビット(排他的論理和)」を追加してみる予定です。
 右辺の計算には「ビット積」だけがなぜかあったんですが、『片道勇者2』内でそれを使って『ビット和』を計算する処理を作っている最中に急に冷静になってしまいました。「自分でウディタに機能足せるんだからそこは作ろうよ……!」って。
 このあたりのビット操作処理ができるようになると、プログラミング知識が豊富な人ならより幅広いことや高速処理ができるはずです。



【セキュリティ周りの更新「ファイル個別暗号化」】

 今回も新しいプロテクト方式と新しい暗号化方式を追加予定ですが、その他に、もし作れそうならプロ版機能として「ファイル個別にユーザー自身で暗号化できる機能」も搭載できないかなと考え中です。
 1個ずつのpngやtxtファイルをユーザが設定したキーで暗号化でき、その画像やテキストファイルはエクスプローラーからなどでは直接読めなくなります。

 おそらく、「ゲーム内でその暗号化ファイルの読み込み時に正しい【復号キー】が設定されていないとファイルとして読み込めない」という形になるでしょう。
(開発中は元ファイルと暗号化済ファイルを並べて置いておけて、ゲームデータ作成時に暗号化済ファイルがあるファイルが消される、みたいな形が扱いやすくて理想だと思います。当然、開発中でも暗号化済ファイルがあればそちらの方を優先して読みに行くようにして)

 データを暴こうとする人は仮に.wolfファイル(暗号化フォルダ)を解凍できるところまでいっても、個別暗号化ファイルの【復号キー】をファイルごとにコモンイベントやマップイベント内から探さないといけないので手動解析の手間が増えますし、もしオンライン経由で必要なタイミングでだけ【復号キー】をDLしたりする形にするなら復号化がもっと困難になります。
 もっと強固にファイルを守りたい人向けの、最終防衛線的な機能になるでしょう。



◆雑談 PC内のEXEだけでセキュリティを守るには限界があったお話

 私はこれまで、Game.exeやEditor.exeみたいなEXEファイルの逆解析って、たぶん機械語で出てくるからすごい読みにくいんじゃないかなー、となんとなく思ってたんですよ。

 ところがつい最近、セキュリティのお勉強がてらEXEファイルの逆解析ツールを使ってみたんですが、その性能に目玉が飛びました!
 私が試したのはアメリカ国家安全保障局が提供しているものだったんですが、まずは見てくださいよこれ!
  ↓
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 左側が私が手で書いたソースコードで、右側が作成済みのEXEファイルを逆解析して自動的に再構成されたコードです! 「右側」をご覧になると分かると思いますが、コード構成としては実質完璧に元の内容を復元できているんですよ! すごい!

 つまり普通に作られたEXEファイルは、関数名や変数名が目隠しされた状態とはいえ、『処理自体は全部見られる』状態になってしまっているのです!
 こんなこと、普通に趣味プログラミングをしてるだけじゃ全然知りえなかったことです! もちろん関連処理を全部しっかりコピーすればそのまま動作もするでしょう。

 ウディタ内でたとえると、EXEファイルそのものが「コモンイベント」だとすると、「コモンセルフ変数名」と「コモンイベント名」が謎の文字になってるだけで暗号化も何もされていないコモンイベントがそのまま見られるような状態になってしまっているのです! やってる計算や文字列操作など全ての処理が分かってしまう!
 いちおうそれでも、「がんばらないと内容を解析できない」というのは全くそうなのですが、ここまでできてしまえば達人がじっくり見ていけば色んな情報が分かるので、解析のハードルは私の想定よりめちゃめちゃ低いです。たぶん今の私ですら、かなりの解析を進められるでしょう。
 そして何より、EXEの上にいくら暗号化を積み重ねても、EXE自体の中味が見え見えなので土台があまりにボロボロすぎて、時間たっぷりかけて解析をしようとする人から見れば何も守れていません。

 なので、ウディタ側で提供される暗号化処理も基本的には全て丸見え状態であり、ローカルファイル内(PC内だけで完結するゲームデータ)だけでセキュリティを守るというのは非常に困難だったのです。セキュリティについて学べば学ぶほど、そう確信します。
(なおプログラマー側がやれる最後の壁として、「難読化(コードを壮絶に読みにくくする)」や「仮想環境でEXEを囲って実行する(ただし処理が外部から見られにくくなるので高確率でマルウェア扱いされる)」といった対応策はありますが、ここまでするとなると個人レベルでやれることを超えています)


 ツール提供側としては、(作業用のリソースが確保できるくらいのプロ版の売上げが出たら)半年に1回とか何ヶ月かに1回ペースで最新の暗号化方式を出すくらいならできる可能性はあります。
 が、どんなに強力なセキュリティを作ったとしても、今回の話のように前提自体が防御にあまりにも向いてないので、解析しようとする側が一定水準の能力を持っていれば絶対に暗号化なども破られてしまいます。
 原理的にそうならざるを得ないので、この点はどうかご理解ください。



【それでもデータを守りたい場合は? オンラインにデータを置く方式】
 もしウディタ作品でどうしてもファイルやデータを守りたい場合は、サーバー依存のゲームのように、『イベントシーンやゲーム段階が進むごとに必要な画像やデータを一時的にダウンロードして使用する』といった形でデータを守る仕組みが必要になるでしょう。
 実質オンラインゲーム化!

 今後はどうしても秘匿したいデータがある人向けに、サーバー経由でデータを取り扱うアイデアをマニュアルに記載していく感じの対応にしようと考えています。私がウディタのセキュリティ周りに時間を使っているとそれだけで寿命もお金もなくなってしまうので。



【セキュリティの難しさを学べたことについて】
 色々述べてきましたが、セキュリティ周りに関して今回みたいな説明ができるところまで勉強ができたこと自体は本当によかったと思っています。

 ファイルやEXEの解析とも部分的に関係がありますが「なんでチートがなくならないの?」という理由の一端を理解できましたし、アンチチートツールを提供してチート対策を実現している人たちがすさまじく不断の努力をされていることも理解できました。
 こういったセキュリティは、それだけを行う、優れた人たちが集まった専門チームが日々アップデートしていくつもりでやらないと防御しきれないものなのだと強く納得できました(そしてそこまでやっても、負けてしまうことがときどきあるのです)。

 とはいえ私も、その難易度の高さを理解した上で、かけられるコストの範囲内でのセキュリティ対応はやっていこうと考えています。
 ただコストの面として、ウディタの修正だけやっていても生活ができるならいいのですが、今月は2週間経過時点でプロ版収益から考えた時給が一時200円切ったりしてるのでとてもヤバいです!(今現在は時給230円くらい、皆さんありがとうございます!)。
 まとまったセキュリティ更新のチャレンジとしては、今回の修正をいったん最後にしようと思っています。私が餓死しちゃう!



 ということで、今もみっちりウディタの修正作業中です!
 日々勉強で楽しいのは楽しいですが、ゲームの方を作らないと本当に生活がまずいので、ウディタ開発もほどほどにバランス良くがんばっていきたいですね!

 9月内におおよその修正が終わればいいのですが、優先して入れるべき面白そうな機能を思いついた場合はその分遅れていきます。
 そうなった場合は、次回も新機能のご紹介が続くでしょう!

 ということで、ウディタVer3.40中規模更新、ほどほどの期待でお楽しみに!
 出せる情報があったら、X(Twitter)[要Xアカウント]などでもちょいちょい情報を出して行ければと思います!
 2024-09-20 (金) web拍手 by FC2 カテゴリ: ウディタ




2024-09-07 (土)   ウディコン:ゲームコンテストの裏側と改善の歴史
 今回は『ウディコン(WOLF RPGエディターコンテスト)』というゲームコンテストを15年やってきて、私が得てきた知見や、ルール変更の歴史について残しておこうと思います!
 これからゲームコンテストを開きたい人はぜひ参考にしてください。コンテストの裏側の苦労を知ってみたい人にもぜひどうぞ。たぶん15000文字以上あるので多いですよ!


※第13回ウディコンイラストよりウルファール&夕一


◆ウディコン開催前の話

【自前でウディコンを開催する理由 コンテストパークが終わったから】

 最初は、自前でコンテストをやるつもりはありませんでした。
 というのも、ツクールシリーズ販売会社さま(当時は株式会社エンターブレイン)による『コンテストパーク』というアマチュアゲームコンテストがあったので、ウディタ利用者のみなさまが目標にしてもらうコンテストもそこに任せればいいや! と考えていたのです。

 私もそれまでに2作品をコンテストパークに投稿しており、「出せる場」と「締め切り」があることがどれほど自分のゲーム開発のモチベーションに良い影響を与えていたかをその身で痛感していました。
 コンテストパークがなかったら、『シルフェイド幻想譚』(RPGツクール2000製)も『モノリスフィア』(ウディタα版製)も完成させてなかったかもしれません。受賞作品には審査員からのコメントも付いて、これがうれしかったんですよ!


↑これはシルフェイド幻想譚のコンテストパーク金賞受賞時のページ(インターネットアーカイブより)


 ですが、ウディタを正式リリースした2008年3月から3ヶ月後の、2008年6月。なんと『コンテストパーク』が終了してしまいました!
 そう、目指してもらうべきコンテストがポッカリなくなってしまったのです!
 私はそれから半年くらい、どう動くべきか考えていました。そして悩みつつも、最後はコンテストを自前でやることを決めたのです。

 内々で実行可能性を考え、準備を行い、実際にウディタコンテストの開催を発表したのは『コンテストパーク』終了から9ヶ月後の2009年の3月(窓の杜さまのニュースより/アーカイブ)でした。
 そして第1回ウディコンが開催されたのは予定通り、その夏の2009年7月です。


 ちなみに同じ思いを抱いた方々がいらっしゃったのか、あるいは上記と関係ないタイミングだったのかは覚えていないのですが、小規模なコンテストとして(おそらく2008年頃から)『非公式ウディコン』も有志の方で開催してくださっていました! 
 こちらがウディタ限定コンテストの『元祖』というべき存在で、実際のコンテストの様子を見せてくださっていたことで「ウディタコンテスト……公式でやってもたぶんいけそう!」という実現可能性の確信につながっています。
 『コンテストパークの終了』と並んで『非公式ウディコンの存在』もまた、今のウディコンという大きな火をともしてくれた偉大なる始まりだったのです。



【ウディコンの初心 やる気と宣伝のサポートをしたかった】



 上は第1回ウディコン開催の2ヶ月前に書いた、2009年5月の私の記事の抜粋です。

 ここではウディコンを始める理由として、ウディタ利用者の皆さまへの「やる気」と「宣伝」の補助が挙げられています。
 開発ツールのサポートの一環として、コンテストを通してユーザーに「やる気」の提供まで試みようとするなんていま考えたら個人レベルでやることじゃないような気もしますが、当時の自分は無謀でした。そもそも自分用ツクールを作るところからして無謀でした。でもコンテスト開催もツクール提供側で行われていましたから、自分もそれを見習おうと思ったのでしょうね。


 ひとまずウディコンの最初の開催動機は、ゲーム開発者の方への「やる気」と「宣伝効果」を提供することです。
 これだけだと奉仕者的な「立派な建て前」なのですが、個人的な感情としては、

「私が『コンテストパーク』でもらった『ワクワク』や『やる気』を、みんなにも体験してもらいたい!」

 という思いがありました。

 すでにウディコンを楽しんでくださっている方には言うまでもないんですが、とても面白いんですよ、コンテストのワクワク感! 出す方も遊ぶ方も!
 「これらを味わえた身として、この体験は将来につないでいきたい!」と思っていました。

 私にとってのゲーム作りも、そういう「面白かったからみんなも味わって!」という動機で始まることは多いです。今回も、「イベント開催」という形でそれを実行することになりました。




◆ウディコンの最初のシステム

【最初は人気投票に近い投票システムだった】

 ウディコン初期は、当時あった『3分ゲーコンテスト』というコンテストの規約を参考にルールを設定しました。投票ルールもほぼ同じ形だったと思いますが、3分ゲーのほうは過去のページが消えていて正確なことが言えません。

 『3分ゲーコンテスト』は完全一般投票制で、人気投票に近いシステムです。「一番票、二番票、印象票」にあたる作品を選ぶと、票の重さに応じて作品にポイントが加算される形だったはずです。

 私がそのコンテストを見ていて感じたのは、「配点の重み付け」を付けてある程度の「人気の差」をカバーできているものの、状況次第では強力な『人気の波』に押されてしまう可能性もあるかもしれないなあ、という想像でした。

 たとえば多くの人に「印象票(一番得点が低い)」のゲームとして選ばれた場合でも、総合順位そのものは「合計点」で決まるので、その得票数の数がケタ違いならば「印象票」だけでも1位になれてしまうのです! そもそも知名度が高い人が投稿してきたら、それだけでコンテストがめちゃめちゃになりますよね。
 その結果、『事前の知名度』だけで得点が大幅に左右されてしまうという『穴』が生まれてしまう可能性があるため、「もし自分がコンテストをやるとしたら『品質』を評価する軸も欲しいな」とぼんやり考えていました。

 といっても、人気が集まりやすい作品は基本的に『素晴らしい作品』なので、評価の大筋としてはそれで正しく評価されていました。『3分ゲーコンテスト』の基本ルールは、十分な成果を期待できる名システムだったと思います!

 なにより『3分ゲーコンテスト』がすばらしいのは、『プレイヤー側がコンテストに参加できる』という形式であること!
 企業の審査員の方々によって審査される『コンテストパーク』とは違い、プレイヤーの側も巻き込んでいく楽しさがあります。この楽しさもまた、取り入れられたら面白いだろうなと思っていました。




【半分審査員制にして、一般審査と別の『品質評価』をしようとした】

 ということで第1回ウディコンでは、恥ずかしげもなく『3分ゲーコンテスト』をベースにさせていただいてルールを考えることになりました(ウディコン規約にも3分ゲーコンテストを元にしたと書いてあります)。

 ウディコン初期の投票ルールは、『数名の審査員』と『多数の一般投票者』が「一位(5点)、次点(3点)、好印象(1点)」の作品をそれぞれ選び、それぞれの「累計ポイントの割合(%)」の合計がその作品の総ポイントになるという形にしていました。

 たとえば『審査員ら全員が作品Aに総得点のうちの24%の票』を入れ、『一般投票で作品Aに8%の票』が入れば、作品Aの順位ポイントは24%+8%=「32%」となります。この32%を得た作品Aは、31%の作品Bより上の順位となるわけです。


 ↑第1回ウディコンの結果。一般投票では1位じゃないけど審査員票を足して1位になった作品(1位)や、両方バランス良く点を取って上位になってたり(3位)、一般票が強い人気作品が審査員票で中和されてたり(7位)、やりこむと面白い作品を審査員側が引き上げるケースもありました(4位)。


 この方式は、ある程度はうまく機能していたと思います。というのも、

●「一般投票」だけで決めるとプレイ数が多い「見た目がキャッチーな作品」が明らかに強くなり、品質面の評価がにぶる可能性がある。

●一方で「審査員」だけの審査だと、得点が足りなくて隠れ名作のピックアップまで手が回らなくなる(一般審査の方が得点的にきめ細かく評価される)し、何よりプレイヤー側で参加できないのは面白くない。


 という問題がそれぞれにあったため、ダブル審査は互いの弱点をおぎなう折衷案として考えたルールだったのです。
 役割分担としては、『品質のみの評価は審査員側で行い』、『人気×品質の部分を一般投票側で評価しよう&それでユーザー参加の楽しさを作ろう!』という雰囲気だったわけですね。
 『審査員側』のポイントは、一般投票で「人気」が先行しすぎた結果が出てしまう場合に『安全弁』として作用させたい意図がありました(もちろん誤解のないように言っておきますと、面白さも1位であればその「人気作品」の「審査員」票もトップ割合になりますよ!)

 たとえばどういう状況を防ぎたかったかというと

●面白さは1位ってほどじゃないけどフォロワー10万人の有名Vtuberが作ったからってファンの人がみんな「一位票」を入れてぶっちぎり1位になっちゃってるー!
 
●「見た目がいいゲーム」の方がプレイヤー数が相対的にDL数が多くなるせいで何よりも見た目がいいゲームが強すぎるー!!
 (実際、最新の第16回ウディコンのトップ争いでさえ、見た目がいい作品は他の20%以上投票数が多くなっていました)


 みたいな状況に対応するために、半分を「審査員制」にしたわけです。
(とはいえ、「既存ファンがいる人の作品」の方は実際に来たら優勝をほぼ止められなかったでしょうけども! でも当時はウディコンも、そういった方が来ない場末(ばすえ)のコンテストでしたから、特に問題にはなりませんでした)

 上記「既存ファンが多い人が応募するとヤバイ」「見た目がいい作品が強くなりがち」の2つは、投票数が重要なゲームコンテストをするならどっちも想定しておくべき課題だと思います。
 何なら一般投票のみならば、(運営でもある)私が出て割と簡素なゲームを出したとしても、票数だけ稼いで優勝する状況がありえたでしょう。それは避けなければなりません。

 といっても、この「ほぼ人気投票」システムでやってきた第3回ウディコンまでに関しては、上位作品については「一般投票」も「審査員審査」も両者の投票率上位が一致する確率はそこそこ高くて、おおざっぱには「人気投票」的な評価でも問題ない感触がありました。
 もちろん、「イラストがかわいい」などの理由で一般投票の得票数に1.5倍くらいのボーナスがかかっていそうなこともあるので、そこは将来の課題でした。




【この方式の問題点:審査員の負担が心身ともに重い】

 さて、次はこの審査員&一般投票のハイブリッド方式の問題点について話しますが、「得点を出す方式」自体には、実はそんなに問題は起きませんでした。

 何が問題だったかというとこの方式、審査員の心身の負担が非常に大きかったということです。
 私も、運営と審査をダブルでやるのがあまりにキツすぎて寿命が縮むかと思ったので、第3回では私が運営に集中する形にして、審査は「協力してくださる審査員の方(そのときは6名)」に全てお任せする形にしてしまうほどでした。

 体の負担と心の負担について、それぞれ見ていきます。


【体の負担】
 まず体の負担に関してまずかったのは、『増加する作品に対する審査負担が増えすぎた』ことです。
 第1回は29作品! 第2回は53作品! 第3回は68作品!
 「ヤバい!! これ全部遊んでたら次は誰か帰らぬ人になるかもしれない!」と思ってもおかしくありません(結局作品数の増加はその辺で止まったんですけども)


【心の負担】
 そしてコンテストでの審査は、心の負担も大きいものでした。
 まず、審査員側は審査内容に納得してもらえるよう、「審査コメントの書き方」や「採点」にも非常に神経を使っています。
 ですが開催規模が大きくなれば、いくらコメントや採点に注意しても、審査員は「順位に納得できない人(主に作品ファンの方)」からの批判を浴びる立場になってしまいます。

 もちろん、皆さん良識あるプレイヤーの方々の方が圧倒的に多いので、規模が小さいうちは批判する声も小さかったのですが、それでも規模が大きくなれば必ず批判の声が一定数出てきてしまいます。それを審査員ご本人が目にすると、相当に辛いのはあきらかです。

 何よりテキストSNSの『Twitter(現X)』が急に普及しだしたのもちょうどウディコン開催の頃で、まだ今みたいにマナーガチガチじゃなかった頃のSNSユーザーが、素直すぎる感想や批判を投げちゃったりする時期でもありました。
 それもまた、心に痛みを発生させる状況の一因になっていたかもしれません。
 この精神負担を考えると、審査員制は長くは続けられないと真剣に思っていました。


【追加の負担・そもそも「運営作業」だけでも大変】
 そして「多くの作品の審査作業」「批判によるダメージへの想定」の他にも、さらにはウディコンの『運営作業』そのものも、最初は全員で協力しなければいけないほど非常に大きな負担が発生していました。
 肉体的な疲労と精神的な疲労がダブルで襲いかかる審査員の負担はとても大きく、私はこれらに対し、改善が必要だと考えていました。




◆ウディコンの今のシステムができあがるまで

【完全に一般投票だけで結果が出るように変えた】

 第3回終了後、「規模が大きくなってくると審査員制はまずい! 負担が大きすぎる!」と思った私がまず行ったのは、『全て一般審査のみで順位を決定する方式』への変更でした。

 ですが一般審査で順位を決定するにも、これまで何度も言っているとおり、すでに知名度を持つ人がファンの方々に投票してもらえば勝てる『人気投票』みたいになっては、参加者の方も一般審査の方も冷めてしまいます。可能ならこれまでも何度か考えたように、「品質」の評価をメインにしたいところです。
 ですが同時に、「注目される」ということ自体も、ある程度は重要な評価軸の一つにすべきだと思います。ゲームというコンテンツは『注目される力』も重要ですよね!

 また当時、「色んな評価軸で『1番』が生まれるといいよね」というコメントもSNSでいただいており、私はそれがとてもすばらしいことだと感じました。
 「部門1位が取れた!」と喜べる人は『部門の数だけ増える』わけで、また、多様な面で順位が出るような評価方式をすれば、作品の強みや弱みも洗い出しやすくなります。
 開発者の方にとっても、今後をはかる良い指標になることでしょう。

 なので、作るべき新ルールの目標は、以下の3点になりました。

◆「品質」が主に評価される。
◆「色んな評価軸」で評価される。
◆人気だけで順位が決まるようにしない。ただし「人気」自体は評価に含められるようにする。





-【[ルール構築]部門別の得点付けシステムの導入】

 前述の「品質重視」の目標に従い、評価システムはこれまでの「ほぼ人気投票方式」から、非公式ウディコンで採用されていた「各部門の得点付け」方式寄りに変えることにしました。

 部門分けは、非公式で開催されていたウディコンが
「総合」「システム」「シナリオ」「素材」「自由裁量」
だったのに対し、こちらの公式ウディコンでは
「熱中度」「物語性」「斬新さ」「画像音声」「遊びやすさ」「その他(自由裁量)」
 の6部門を総合して、総合評価が算出されるようにしました。

 特に『斬新さ』は絶対に入れないといけないと思っていた項目で、これがないとどこかで見たシステムのゲームが連勝するという問題が起きると考えていて、「絶対にみんな冷めちゃいますよね!」と考えていました。
 『斬新さ』部門については非常に重要な点なので、後にもっと掘り下げて話していきます。

 先に、「平均点と人気の複合評価」について話していきます。
 



-【[ルール構築の課題]平均点と人気の複合評価】

 ウディコン新ルールでの得点付けは、部門ごとに「平均点の順位ポイント」、「合計点の順位ポイント」、そして「中央値」の3つが加算され、この合計値が総合順位用のポイントになります。


↑第14回ウディコンの「熱中度」部門の例。「平均点・合計点・中央値」でランクPが足されて「熱中度得点」になっているのが分かります

 この「平均点の順位ポイント」、「合計点の順位ポイント」、「中央値」の3つの意図について、それぞれ見ていきます。


【平均点の順位ポイント】
 これは、たとえば「熱中度」における『平均点』が高順位であるほど得点が多くなる! という形のポイントです。単純で皆さんも納得しやすい評価だと思います。
 たとえば平均点8.5点で1番だった作品Aには「30ポイント」、平均点8.2点で2番だった作品Bは「29ポイント」、みたいに得点が与えられます。

 が、実はこれだけだと穴があり、

●投票者が極めて少ない状態では「超ファン」の方からの投票だけになりやすく、過剰に平均点が高くなる。
●投票者が多いと「合わない人」からの低得点率も増えて平均点が下がっていく。


 という2つの問題が起きると思っていました。
 それを調整するために取り入れたのが次の「合計点の順位ポイント」でした。


【合計点の順位ポイント】
 「合計点」は全ての一般審査員が入れた部門点を合計した値で、大きいほど高得点を得られます。
 たとえば、熱中度に8点を入れた人が10人いると合計点は80になり、それが合計点1位ならば「15ポイント」がもらえます。続けて、合計点が75点くらいで2位の人も「15ポイント」、3位の67点の人は「14ポイント」……みたいに、「合計点が高い順」に高ポイントが与えられるわけです。
 といっても、影響度は「平均点」の『半分』で、2位下がるごとに1点ずつ減っていくようになっています。

 『品質がメイン、ただし人気もいくらか加味する』というバランスを取るために仮にこの割合にしたのですが、ウディコンを10回以上やっても変わらず使えているので、ゲームバランス的にはまあまあいい塩梅(あんばい)だったのかもしれません。

 また上で書いた通り、投票者が「少数の超ファンの人だけ」だと「平均点」が上がりやすく、投票者が多くなるほど「平均点」が下がりやすい傾向がありますので、そこで増減した値のバランスを取るためにもこの「合計点」項目は重要でした。
 この合計点によってそこそこ良い感じに、プレイヤー数による平均点のプラスマイナス補正を打ち消し合う関係になっていると思います。

 上位争いに混ざるなら、この「合計点」、もとい「人気」は必須です。
 ほぼありえない想定ですが、仮に『全て10点満点の投票が1票だけ』入って、それ以外まったく票が入らず審査が終わって「全部門の平均点が10.0点満点」になったとしても、「合計点」の順位ポイントが全部門で0になるので、トップにはなれないようになっています。



【中央値】
 『中央値』、聞き慣れない数字かもしれませんが、たとえば101人の点を小さい順から大きい順に並べた場合の「51人目の数値」が『中央値』になります。要するに「真ん中の人の数字」で、「平均点」とは違います。9人が「1,2,3,4,7,9,9,9,9」みたいに点を付けた場合、中央値は「7点」になり、平均点は「5.9点」です。

 『中央値』のポイントは数値通りそのまま加算されます。「『平均点』と並べれば情報を立体的に把握しやすくなりそうかな?」という程度の意図で用意されており、得点上はさほど大きな意味はありません。
 この中央値ポイントは、上位争いにおいて「品質が良ければ1点分有利になるかどうか」程度のおまけ要素だったのですが、たまに「X年ぶりの中央値9点だとォ!?」とか「初の中央値10点が出たァァーッ!!」というのが分かったりして面白かったので、これはこれで指標の一つとして入れてよかったと思っています。

 なお「中央値が10点」ということは、『半分以上の人が10点を入れた』という意味になります。第14回や第16回ウディコンの画像音声部門で中央値10点が出ましたが、とんでもない偉業であることが分かります。





-【[評価基準]コンテストを守るために重要な「斬新さ」部門】

 6部門のうちの「斬新さ」という部門は非公式ウディコンにはなかった項目で、私が明確な意図を持って追加しました。人によっては「ゲームは面白かったら斬新じゃなくてもいいでしょ!」というご意見もあるかもしれません。

 「斬新さ」を入れているのは「私が個人的に斬新なゲームを求めているから」という理由もありますが、それ以上に重要な理由があります。
 というのも、「斬新さ」部門がないとコンテスト内で以下のような現象が発生してしまうことが予想されたからです。

●1.よくできた既存ゲームのクローン作品が上位に来てしまう!
 
●2.ウディコンで高評価を得た前作の、ほぼ同じシステムの続編が何度も上位に来てしまう!


 1は「既存ゲームのクローン作品が上位に来るのはコンテストとしてつまらない」とごもっともな内容だと思いますが、さらに危ないのは2の方!
 2の「ほぼ同じシステムの続編が何度もコンテストを連覇してしまう問題」は、別のゲームコンテストで一瞬それっぽい流れになったのを実際に見たことがありました。この流れになると運営もプレイヤー側も気分が上がらなくなるので、これだけは何とか避けなければならないと思っていました。

 たとえば参加者のみなさま同士で
「そっちが『前作の続編』で来るなら、俺は『最近流行りのゲームのクローン作品』で勝負するぜ!」
 などの展開が常態化すると、コンテストとしてはだいぶつらみがあります。
 上位作品が見慣れたものばっかりになるのはたぶん面白くない!

 そういった状況を抑止する「防御力アップ」の目的で、私は『斬新さ』をウディコンの評価として取り入れることにしました。
 この評価軸がある限り、「前に出したゲームと全く同じシステム」の続編ゲームをウディコンに出した場合は、「斬新さ」の項目がほぼ「ランク外」か低順位になってしまうでしょう。そのマイナスを背負ってまで1位になるのは相当に難しいはずです。

 実際、過去に1位を取得された方でも、次に出されるときは旧システムの流用であれどもしっかり「新たな面白さ」を味わえるよう改良したり、新たなゲームシステムで出してくださっているので、「斬新さ」は入れてよかったなと思う評価項目です。

 とにかく、
「優勝するためにはまったく同じ手は通用しない(ので、仮に続編を出すにしても新たな工夫をしてね)」
 という方向に誘導するのは、コンテストを長く続けるにあたってとても大事な点だと思うんですよ。


【余談:「斬新さ」と「遊びやすさ」の両立は難しい】
 ちなみに、ゲームシステム面で「斬新さ」を取りに行くと、ルールを伝えるのが開発者的に難しくなるため「遊びやすさ」が減少しがちです。
 だって、『まだ誰も遊んだことがないルールのゲーム』のチュートリアルを作ったり難易度調整をしたりしないといけないんですよ!? 初めての試みで、何もかも難しいことだらけになります。
 でも「斬新さ」を取りに行かないとトップを取りに行くのは難しい! そうなると「遊びやすさ」が確保しにくくなるため必要思考量や要求されるセンスも増大し、どんどん修羅の道に突入していくことになります。

 でも実現が非常に難しいことだからこそ、そんな「新しくて面白くて遊びやすいゲーム」に触れてみたいと思っているプレイヤーの方もたくさんおられると思いますし、私だってそのうちの一人です。
 そして参加者の方にとっても、この領域に挑戦できる人にとっては、とてもやり甲斐があるミッションになるでしょう。




-【[総合順位]総合順位は(妥当性は低くとも)民主的っぽく算出したかった】

 総合評価の計算には、これまでで計算された『各部門別の得点』に加え、各一般審査員の方が入力した、『各部門の「重視度」を平均した値』が使われます。複雑で何言ってるかパッと分からないですね!

 たとえば「物語性は40%重視する」など各人に選んでもらったのを平均して、総合評価用の「平均重視度」を算出します。
 もし「物語性には意味がない、重要度10%!」と思った人が非常に多かったなら、総合評価においても「物語性」の得点の影響度が減ります。一見、民主的っぽく思えますね。

 この「重視度の平均」は、だいたい毎回「熱中度 80%、斬新さ 50%、物語性 60%、画像/音声 50%、遊びやすさ 75%」前後の値になります。斬新さと画像音声が低めでもいいのは、面白ければ何でもいい感じの方が多いからでしょうか。


 そして総合グランプリは、作品ごとに
 [部門別得点]×[一般投票者が投票時に選んだ『重視度』の平均%]
 によって求められた得点を、6部門全て足して算出されたポイントで決定されます。

 たとえば熱中度で50点を獲得し、重視度平均が「熱中度80%」になったなら、50×0.80=「40点」が総合得点に加算されます。それを6部門それぞれに対しておこない、全部足したものが、総合順位計算用の最終ポイントとなります。


 私はルール変更後の第4回開始前に「こういうやり方なら割と民主的なので、皆さんの順位への不満も減るのでは……!?」と、ちょっとだけ期待していました。


 でも実は、第4回と第5回でも、納得行かない方からのコメントはまだ目立つくらいには飛んできていました。
 「これでもダメなのかー!」と私は頭を抱えていました。




-【[仕上げ]総合順位発表に納得しやすくなる情報を加えたら苦情が減った】

 そんな風に第5回まで、「こんな順位に納得行かない!」というコメントが結構あったのですが、第6回からの結果発表に「ある情報」を載せるだけで、そういったコメントが急激に減りました。
 さて、一体何をしたのでしょうか? 

 以下は第4回の順位発表欄と、第6回の順位発表欄です。赤線部分に注目してみてください。


 ↑第4回ウディコン 順位発表欄



 ↑第6回ウディコン 順位発表欄

 もうお分かりですね!
 それは総合順位の発表欄で「各部門得点の『順位』を並記するようにした」こと!

 実は第5回までは「各部門の得点」だけ表記されていて、そこに「順位」は載っていませんでした。
 つまり第5回までは「熱中43.9+斬新28.3+……」とだけしか出ていなかったのですが、今は「熱中43.9(1位)+斬新28.3(14位)……」のように出ているのです!

 この各部門の「順位」表記が付いて何がよくなったかって、『(納得できなさそうな)順位を見た次の瞬間』に「どの部門で致命的に得点を落としたのかが一目瞭然になる」んですよ! それと同時に「強い部門ではしっかりちゃんと評価されていた」ということも理解できるのです!
(といいますか、その順位情報を入れないと各得点の真の意味が直感的に分からなかったので、単純に私の配慮不足なところがありました)


 すごくいいゲームでもあまりに高難易度だったりすると、「熱中度」が3位以内なのに「遊びやすさ」の順位が「ランク外」になってしまうこともあって総合順位が下がってしまう場合があります。
 こういう作品も前述の変更によって、投票した人が結果を見たときに
 「あー『熱中度』は期待通りのトップ順位だったけど『遊びやすさ』の面で受け入れられなくて総合順位にひびいたのかーなるほど!」
 とすぐ分かるようになったわけですね!


 この点は小さい工夫ながらも『納得感』を生むために非常に重要だった感触で、この順位表記を入れた第6回あたりから「作品の順位に納得いかない」という声が極端に減りました。というより、ほぼゼロになった印象がありました。

 もちろん「この方式に慣れてきた」という理由も何割かはあるでしょうが、コンテスト運営の陰にはこんな風に『一見小さいけど重要な補助情報を入れるのも大事なんだな』と感じさせられた、気付きにくい出来事もあったのです。


 そしてこの教訓は、ゲーム開発にも活かせる話です。
 『ほんの一つの数字が見えているか否か』だけの差で、プレイヤーの「納得感」を大きく変えられることもあるのです!

 これだからゲーム開発もコンテスト運営も奥が深い! と思います。




【君が一番だと思ったゲームこそが一番!:総合順位と宝物となる作品かどうかは別】

 コンテストの「総合順位」と「あなたにとって宝物となる作品かどうか」は別問題!
 というニュアンスのことを、第4~5回あたりの総評から毎回書くようになりました。(そこから年を経るごとに内容が徐々にブラッシュアップされています)

 私は「ウディコンにおける総合順位」の出し方が「部門別ランキングに比べれば妥当性が低いよなあ」と内心思っているからこそ、このコメントをしているのですが、
『総合順位とあなたにとっての宝物かどうかは別問題! 次も宝物作ってくれるように作者さんの次回作に向けて応援してあげてね!』
 という考え方自体は、とても重要なことだと思っています。

 この考えは、順位に納得が行かない人に対してのいくらかのなぐさめになるところもあり、また、他の人もこの文言を使って順位にガッカリした人を励ましてくれていたりするところもあったようなので、書いてよかったなと思っている部分です。


 でもこれだけだとやっぱり足らず、「順位に納得が行かない」の空気が決定的に減ったのは、やはり前述の「各部門の順位表記の追加」のときだったように思います。
 昔は「自分が好きならみんなも絶対好きなはずだ!」という感性が皆さんの間でかなり根強かった感触で、「好きな作品が高順位にならないのが本当に理不尽だ」と思われる方も多かったように思うのですが、「部門別の順位表記」が出るようになったおかげで「順位を落とす作品には、多くの人に合わなかった部分も含まれている」というのがだんだん理解されていった印象でした。


 ちなみに、私の一番好きなゲームはウディコンではしょっちゅう7~10位くらいになっていました。
 私は『よく分からない状態から探っていく』ゲームや『かなりクセがある』系のゲームもけっこう好きで、たまに激ハマりする作品があるのですが、そういうタイプはどうしても「遊びやすさ」で点を取れないんですよ!




【多くの手順を自動化して運営を省力化した】

 また、第4回からは基本的に1人でウディコン運営をすることになりました。必要なら協力者の方にごく短期間だけ手伝っていただいたりしています。

 基本1人ベースにしたのは、それまでの審査員のみんなの心身の負担がとても大きかったので「ここから先は、何かあったときに責任や負担を負うのはもう自分だけでいい」というヒロイズム精神による側面もいくらかあったように思います。
 ですがそれと同時に、「何かあったら一人で爆散すればいいんだ! 一人なら何もこじれずにやめられる!」みたいな気持ちも裏にありました。
 それまでの第3回までに感じていたキツさが度を越していたからかもしれませんが、なかなかヤケな感じが出ていますね。
 
 なお第3回までのコンテスト運営作業で特に大変だったのは以下の3点で、このあたりの労力をカットできればだいぶラクができると考えた私は、サーバープログラムによる『自動化』を進めていました。

◆新規エントリー作品が来たときのページ更新作業
→ 作品のエントリーチェックが終わったらボタン1発で追加登録できるのが理想です。
 
◆エントリー情報(ゲームデータ)の差し替え対応作業
 → 最終的には「エントリー内容修正フォーム」ができて、何もしなくてよくなりました。
 
◆結果発表ページの作成作業
 → 集計済みのデータを入れたら自動的に結果発表ページを作ってくれるものが理想です。


 第1~3回あたりまではこれらを手動で行っていたのですが、正直かなりの労力を支払わなければならず、控えめに言っても地獄のようでした。運営に協力してくださった審査員の皆さんには感謝の限りです。

 もちろんこれ以外にも「お問い合わせ」や「その他の問題」がいっぱい来ており、その対応にも追われている中でこの作業もやらねばならないわけです!
 なので私も審査員の皆さんも心身の負担は大きく、第1~3回ウディコンでは途中から全員死にそうな気分になっており、コンテストが終わる頃にはお互いが「死線をくぐり抜けてきた戦友」みたいな雰囲気になってしまうほどでした。


【自動化は一部分ずつ進めていました】

 私は何の因果か、それまでのサイト運営で「Perl」という、サーバー上で動作するスクリプト言語を少しだけ扱えるようになってので、投票ルールが変わる第4回前から運営をラクに行えるウディコン運営システムを徐々に作っていくことにしました。
(ただ今ではPerlはさすがに古いので、せめてPHPなどがおすすめでしょうか)

 まず最初は「一部分の自動化」をして運営し、また手作業での実際の運営手順を洗い出し、作成すべき結果発表ページの構成が見えてきたらそこも自動化し……。
 と繰り返していって、それから何度かのウディコンを経ていく中で、今もコンテストシステムは改修・増築され続けています。

 今では前述の3つの重い作業「エントリー」「差し替え」「結果発表」において、人間の判断力がいらない単純作業は大部分が自動化できるようになっています。

 コンテスト運営は、1回目はまず手順を洗い出すために手動で運営しなくてはならないとしても、2回目以降はその手順を元に自動化の仕組み作りができるので、自動化し始められると一人でもコンテスト運営が可能になると思いますよ!

 最近はAIに頼めばプログラムやHTMLも作ってくれる時代なので、サーバープログラムについてあまり知らない状態からでも、コンテスト運営システム作成の実現しやすさは上がっていると感じます。





【作品紹介を個別ページにせずズラっと並べた、思わぬ効用】

 ウディコンは最初、「『作品別の個別ページ』を作って、作品名をクリックするとそこへ飛ぶようにしようかな?」とちらっと思っていたのですが、結局1ページ内に多数の作品が並ぶ形になりました。これには特に強い意図はなく、単純に私が作りやすかったからでした。


  ↑第16回ウディコン、エントリー一覧ページ


 ですが今思うと、ズラっと1ページ内に作品群が並んでいることには大きなメリットがありました。
 それは、外部サイトからリンクをクリックしてやって来たプレイヤーの人がこのページを開いたとき、今みたいに一覧で並んでいる方式ならば【周りのいくつかのゲームも絶対に目に入る】ということ!
 外部から「個別ページ」へのリンクだと、その1ゲームしか目に入らないので広がりがないのですが、1ページ内にたくさんゲームが並んでいればついでに他の作品も目にするチャンスも増えますし、何より普通に遊ばれる方にとっても次々に「ダウンロード」していきやすい!

 そういう意味でも、1ページ内に全エントリー作品群の情報がまとまっている方式は、今はとてもアリだったなと思っています。





【結果発表前の2時間前から、カウントダウン発表をするようになった】

 2014年の第6回ウディコンから、Twitter(現X)で上位12位の「カウントダウン発表」を行うようになりました。
 これは単純で低コストながら、感情面においてかなり大きな効果を感じられるイベントで、それ以後ずっと行っています。

 「カウントダウン発表」がどういうものかというと、まず全ての結果発表が土曜日の「21:00」に行われる予定だとします。
 そうしたら、2時間前の19:00からTwitterで私が
「さーて今回の第12位は……『【作品名】』です! 遊びやすさとその他部門で5位を獲得ー!!」
 みたいに順位を発表していきます。

 そして10分経つごとに「今回の第11位!」、「10位!」みたいにカウントダウンで発表していき、20:50に「今年の第1位」が発表されるわけですね!

 
 この方式、ただ情報を小分けに発表していくというだけなのですが、1位分の発表ごとに、作者さまは自分の作品が来ないかとドキドキし、一般審査の皆さんも自分の応援した作品が来ないかとドキドキできるので、思った以上に感情を盛り上げられる効果があったように思います。
 「だいたいの結果は想像できるけど実際どうなるか分からない」中での答え合わせって、ゲームでもそうですけどなんでこんなに興奮するんでしょうね。

 なお上位を取れる見込みがある作者さまは、この2時間近くのあいだ、人によっては「早く楽にしてくれー心臓がもたないよー!!」みたいな、まるで拷問のような苦しさを感じるそうです。
 私も「これ作者さまにはいじわるなイベントだなあ……でもやったほうが面白いからなあ」と思いながらやっています。こんなにジリジリ待たされるの、人生の中でもなかなかないですよね。
 作者さまには心の中で謝罪しつつ、このやり方自体は今後も続けていく予定です。


 そしてここまで挙げた第6回ウディコンまでのアップデートによって、ウディコンの全体のおおまかなルールはほぼ完成され、今に至る第16回まで使用され続けています。
 もちろん細かな規約変更はときどきありますが、ウディコン運営における特徴的な部分に関しては、以上でおおよそ全て紹介できたと思います。



◆ウディコンの今後の見通し

 さて、ここまでウディコンの主なルール変更の歴史を語ってきましたが、ここからは将来の話をさせていただきます。



【ウディタのユーザー数はたぶん縮小中】

 いきなりですが、ウディタのダウンロード数は基本的に減少傾向にあります。
 最近はもう測ってないのですが、12年前の全盛期に比べると今はアクセス数もダウンロード数も15%(1/6以下)くらいかそれ以下になっているはずです。

 昔と違ってガッツリゲームを作りたい人には、普及率の高いUnityや、人気が高まりつつあるGodotエンジンがありますし、PC版のRPGツクールシリーズはブラウザ版やスマホ用データが作りやすくて今も健在ですし、ノベルゲーム分野でもティラノビルダーなど多数のツールがありますので、おのおの使いやすい開発ツールを使ってくださっているのだと思います。
 よって、今からわざわざウディタを選ぶ理由はあんまりないはず! 私も未経験なら、就職に有利かもしれないUnityあたりをお勉強しているでしょう。


 ゲームを作りたい人は、それぞれが一番良いと思った道具を選んで歩まれていることでしょうから、ウディタが使われなくなること自体は1ゲーム開発者として応援すべきことだと思っています。
 私自身、RPGツクールの進歩と共に成長して、最後には巣立った身ですからね!
(初期からのRPGツクールは新機能や柔軟な機能がどんどん増えていって、その過程でユーザーは自作システム作りやアルゴリズム作りに慣れることができました。スクリプトが搭載されてからはプログラミングができる人も増えました。そこから別ツールに移った人もいれば、私なんてツクールで学んだプログラミング技術をとっかかりにしてウディタという派生ツクールまで自作できたのです!)




【縮小していく中でも楽しめるコンテストを】

 そしてウディコンも、新規ユーザー数の少なさから縮小方向に向かっていくと考えています。
 なぜかコンテスト規模が落ちていないのは単純に、「リピーター」になってくださっている作品参加者の方や一般審査の皆さまのおかげです! 応募作品にいたっては、今回の第16回でも「過去に参加経験がある方」の作品だけですでに50%分くらいに達しているはずです。

 私の何度かのコミュニティ運営経験から推測すると、時が経つにつれて新規参加者の方がほぼいらっしゃらなくなって、最終的には「経験者だけが回す同窓会」みたいなコンテストに近付いていくでしょう。
 そしていずれ40~50作品ほぼ全てが経験者の作品になって、それもだんだん減っていって、最後にもう旧知の仲になってる人同士で10~20作品くらいのご応募があったあたりで、私が
『ウディコンは今回で最終回とします。これまでXX年間ありがとうございました!』
 と言って終われることを、自然で理想的な将来像とおいています。
(なお理想的じゃないルートとしては、炎上して次回開催が不能になったり、想像以上に早くしらけちゃう事故が起きて衰退したり、私が事故に遭っていなくなることですね)

 当たり前のことですが、ものごとが永遠に続くなんてことは絶対にありません。
 そしてだからこそ、『人口が減っても楽しめる』ようにできれば一番理想です。
 50人しかいない村でも、超盛り上がるお祭りがあったら楽しいですからね! 話題になれば外から観光客もいっぱい来ちゃうかも! みたいな感じで。

 実際、ウディコンのルールは初期に比べてだいぶうまく機能したり、なじんだり、盛り上げに貢献できているようで、本当によかったと思います。
 
 また、仮に「同窓会」みたいになっても、この評価システムが機能している間は
『熱中できて、心に残って、見た目もこだわって、斬新で、遊びやすいゲーム』
 を目指せるだけ目指して、みんな作り続けるでしょう。
 それを目指した作品はほとんどの場合、面白いはずですし、いくつかの作品はいつもの通り、「新しい楽しさ」や物語的な「感動」を運んでくれるはずです。

 なので、人が減っていっても、最後まで楽しみたっぷりで終われることを期待しています。もちろんその過程で、さまざまな運営努力や判断も求められ続けるのでしょうけれども。



【いつか来る、ウディタもウディコンも利用されなくなる時代】

 時代と共にウディタが使われなくなっていくのと同様に、ウディコンが利用されなくなっていくことも必然だと思います。でもそれは、必ずしも寂しいことではありません。
 なぜなら、ウディコンから注目が離れていくということは「他にもっと面白い場所がちゃんと生まれている」ということなんですから!

 ウディコンはそもそも『コンテストパーク』終了にともない、ウディタ利用者さまへの「やる気」や「宣伝効果」アップ目的で始まったものです。
 もっと他に「やる気を出せる場所」があったり「宣伝効果が期待できる場所」があるなら、ぜひそちらで思いっきり楽しんでもらうべきです。ウディコンが生まれた理由自体、「代わりがなかったから」なのですから、新しい選択肢が広がるのはとても素敵なことだと思います。

 どんなものも、もっと良いものが生まれる中で徐々に衰退していくのは自然の流れです。
 皆さんも新しいツールや新しい場所を探したり、そこに飛び込む心構えもいくらかしていただきながら、それでも今ウディタやウディコンが面白いのでしたら、その間は思い切り楽しんで活用していただければいいのだと思います!

 ということを本当の衰退期に言うと負け惜しみみたいに聞こえたりシャレにならなかったりするので、盛り上がっている今のうちに言っておきたかったんです!!


 もしウディコンがいつか終わってしまったとしても、私はその浮いた時間でゲームを作って、他のコンテストに参加しているかもしれません。
 それもまた、私にとってはうれしい結末です。




 ということで、ウディコンについていま思いつく限りのことを書いてみました! だいぶ長くなってしまいましたが、いかがだったでしょうか。

 こうやっていざ見返してみると、ただコンテストをするだけでも色んなことを考えてきた気がしますね!
 そしてまた、ウディコンの在り方について思い出すいいきっかけになったとも思います。


 この内容が、これからゲームコンテストを開くかもしれない皆さまの一助となれば幸いです。
 そしてまた、楽しんでくれる人がいる限りは――そして私が楽しめている限りは、ウディコンを可能な限り続けていくつもりです!
 よければ来年のウディコンも、作品エントリー側としても、遊ぶ側としても、楽しんでいただけますと幸いです!
 2024-09-07 (土) web拍手 by FC2 カテゴリ: ウディタ




2024-08-25 (日)   第16回ウディコン結果発表、上位作品+ピックアップ紹介!
ということで第16回ウディコン、ついに結果発表です!
今回の作品群も例年以上に情熱と工夫がいっぱいで凄い回となったと思います!

この記事では上位4位までの作品と、個人的ピックアップをご紹介します!

【第16回ウディコンページ】





◆第16回ウディコン1~4位紹介!

【第1位 『箱庭ドールメーカー』】

作者:こよる様 ↑タイトルクリックで作品へ
熱中 42.0点(1位)+斬新 25.9点(3位)+物語性 27.0点(6位)+画像音声 24.7点(4位)+遊びやすさ34.1点(5位)+その他23.0点(3位) = 176.7点



『箱庭ドールメーカー』は、「ドール」と呼ばれる存在を育成し
ダンジョンを攻略していくすごろく×デッキ構築育成RPGです!

マップ探索はすごろく式で行われ、遭遇する敵との戦闘で
ドールのパラメータを上げたり、特定の宝箱から得られるスキルを集めて
スキルデッキを構築していきます。
スキルは1ドールあたり10枠まで習得可能で、
戦闘中ではそのうちの4択が初期選択肢として出てきます。
スキルを使うとデッキ中の他のスキルがでてきます。

バトルでは最大4人のパーティーを組めるため、
各々の相乗効果を考えてスキルを取ったりしていく必要があります!
バトルはAP式で、APがなくなるまで1ターンに何度でも行動可能!
仲間内での行動順も自由!

そしてこのゲームの変わっているところが
「育成(ダンジョン)」と「本番(フィールド)」パートの2つに分かれいる点!
「育成(ダンジョン)」パートでは1つのドールを育てることができ、
パーティーに入れられる残りの3体は自動で成長していきます。
そして終了時、育成対象にしたドール1体を「記憶」することができます。

そして「本番(フィールド)」パートでは、
「記憶」したドールを4人連れて冒険に行くことができます。
「育成」パートクリア時点のスキルを全員最初から持っているほか、
最初は能力値が弱めですが冒険途中でレベルアップすると
最大で「育成パートで育てた値」まで能力値が強くなっていきます。
そしてそのステージのボスに挑むわけですね!

スキルは単体で非常に強力なものも多いですが、
組み合わせることで敵を完封できたり、
超絶大ダメージを与えられるようになるものもあり、
習得できるスキルの端々を見ながら
「この相乗効果を完成させたら絶対強いだろうなあ!」
という夢を持つこともしばしば! その夢を叶えるために夢中で育成できてしまいます!

こんな風にドールを鍛え、「習得」も「戦闘時の使用」もある程度
運任せになるスキル群をうまくやりくりしながら
「強力すぎるシナジー」を生み出してゲームを進めるという流れが非常に楽しく、
何十時間でもやれそうな中毒性があります!
(個人的には可処分時間の不足によりリソース確保と後半の育成にかかる時間がもう少し短めでも
うれしかったですが、それを支払う価値がある面白さでした)


しかもX(Twitter)で共有されているパーティー構成を見ると
使ってるパーティーがみんな違っていてそこもすごい!
自分の思いつく構成を突き詰めればどれも強いバランスがすばらしい!

他にも戦闘パートの工夫として面白いのが「状態スロット」!
これは各キャラ5枠あるのですが、敵が何らかの強化状態になっても、
後から状態異常を5つ重ねると「先にかかった状態を押し出して消せる」
という仕組みが導入されており、これもRPGの強敵戦で
出番がなくなりがちな状態異常に役割を増やしています!

「味方に致命的な状態異常をもらっても強化状態を5つかければその悪状態を消せる」
という意味もあるので、バフ・デバフの在り方の重みが強い!
これうちでも採用したいです!

などなど話すべき工夫は山ほどありますが、
これ以上言うと長くなりすぎるので、後述の開発者さまの記事などもぜひご覧ください!

本作はプレイ時間が10時間以上と長かった都合上、
審査終了あたりまで投票が少なかったのですが、
いざ終盤に投票され始めると最終結果としては
熱中度1位の中央値9点(つまり半数以上が9点以上を入れた)だった上に、
「熱中度に10点入れても足りないので『その他』加点もしました!」という人も続出!
画像音声や遊びやすさも高めで物語も印象に残るものとなっており、隙がありません。

「ウディコンではプレイ時間が長いゲームは不利」とみんなに思われていた中、
その壁を打ち破ってトップになるほどの超絶パワー! 1位も納得の一作です!

そして開発者さまの裏話の記事も出されていました!
ゲームデザインにあたっての試行錯誤の記録や参考にしたシステムが
記されていて勉強になりましたので、よければぜひ!
→ ◆フリーゲーム「箱庭ドールメーカー」制作後記



【第2位 『やけくそ料理人と不良債権』】

作者:なす太郎様 ↑タイトルクリックで作品へ
熱中 40.4点(2位)+斬新 24.8点(4位)+物語性 20.8点(11位)+画像音声 26.8点(3位)+遊びやすさ37.9点(2位)+その他18.0点(7位) = 168.7点



『やけくそ料理人と不良債権』は、お料理デッキ構築ローグライク!
なんと敵と戦うのでなく、手札で料理を作ってそれを提供していくというゲームです!


「料理を作って客を呼んで提供する」という流れが
1画面にまとまっている画面構成も分かりやすい!

基本的には手札を使うことで「肉」「魚」「野菜」の各食材を増やし、
その食材で選べる「料理」を作って客に提供していきます。
客は自分で「呼び込む」こともできるので、
「あっ、このターン料理が余っちゃうな、客を呼んでおくか」みたいな判断もできます!

ですが料理には「おいしさ」や「映え」のパラメータがあり、
客も「ロールキャベツが食べたい」とか「映え2以上で」などの注文を出してくるので、
要望を満たすように料理を出さねばなりません。
お寿司とハンバーグは注文しないでくださぁぁぁーい!!
(デッキが強まってないと作るのが大変)

カードは途中で新たなものを取得していけるのですが、
カードには「キャラ」のアイコンが載っています。
特別なことがない限り、各キャラごとに1ターン1枚しか手札が使えません。

たとえば「BB(ピンク髪ウサギ男子)」アイコンのカードを使うと、
そのターンはBBの他のカードは使えなくなります。
なので別キャラのカードを得ることで1ターンに
いっぱい手札を出せるようにしたり、引いた時点で
「手札+1枚」を得られる(負担にならない)パッシブ的なカードを
取っていくことで有利にしたりと、デッキ強化にあたって
いろいろな観点で考えながら進めていく必要があります!
この辺り、実際やってみると予想以上に直感的なので、ぜひ触ってみてください。
詳しい情報が知りたいときは右クリックで!

また、キャラクターたちの会話も楽しく、そういった面の面白さも高品質!
料理作りをテーマにしたデッキ構築ローグライトとして
非常に高い完成度で構成されており、
ゲーム開発者的に「これは巧い!」とうならされた一本です!
「遊びやすさ」部門でも上位で、たぶん1プレイ1時間くらいで遊べると思いますので、
気になる方はぜひ遊んでみてください!



【第3位 『迷宮郷まよろば』】

作者:そぞろ豆腐様 ↑タイトルクリックで作品へ
熱中 39.6点(4位)+斬新 19.9点(10位)+物語性 12.0点(21位)+画像音声 29.5点(1位)+遊びやすさ37.1点(3位)+その他25.0点(1位) = 163.2点



『迷宮郷まよろば』は、心をゆさぶる美麗ドット絵と音声がかなでる
圧倒的雰囲気が魅力のゲームです!
実際に遊んでみると画面からの「圧」がすごいんですよ!

日本の懐かしい風景、メルヘン、大自然、ホラー、ポップ、仏教感などなど
幅広いジャンルのマップを探索していくのですが、
ウディタ3の新機能も演出に多用されていて細かな演出までこだわりぬかれており、
ひたすら「美しい……!」としかいいようのない場面が次々に出てきます!
私は仏像が不思議と印象に残りました。

なお、マップには隠し要素や収集要素もちりばめられており、
それを探す楽しみもあります。
(コンプリートは大変かもですが、実現できれば
「全てを見尽くした」という証明になるでしょう!)

最初は未知のエリアをうろうろする感じですが、
「全体マップ」を入手できたらその後は「観光」感覚になって遊びのフェイズが変わります。
「全体マップ」は体感、かなり後半のエリアに
急にポッと置いてありましたので、忙しい人はなるべく早めに、
そうでない人はぜひ楽しみながら探してみてください。

プレイとしてはほとんどの時間は歩いているだけなのに、
どんどん出てくる新たな絵と音に心が揺さぶられ、
歩いているだけで「良い体験ができた」と感じられてしまう
ものすごいパワーを秘めている一作!
「ぜひ自分の目で確かめてください!」と私でも言ってしまう作品です!



【第4位 『放浪者セレナ~少女を救うため、闘技場で戦う女~』】

作者:カザ&ソロー様 ↑タイトルクリックで作品へ
熱中 40.4点(2位)+斬新 12.9点(17位)+物語性 27.0点(6位)+画像音声 21.4点(10位)+遊びやすさ39.4点(1位)+その他19.5点(5位) = 160.8点



『放浪者セレナ~少女を救うため、闘技場で戦う女~』は、
闘技場で育成して戦いに勝ち抜いていく育成シミュレーションゲームです!
少女を救うべくセレナという女性が闘技場に潜入するのですが、
そこで大人向けゲーム的なグヘヘ展開があるかとまったくそんなことはなく、
非常に健全かつ爽やかに進みます!
お子様にも安心!(セレナさんの腹筋は刺激的かもしれない)

ゲーム面においては、通常難易度は非常に遊びやすく、
変に育成で休みまくったりしない限りは割と敵に勝っていける感じに
絶妙にバランス調整されています。
また、育てたパラメータや選択肢に応じて色んな技や装備品を入手できたりして、
育成面で色々試したい気持ちになれる一本です!
私は高攻撃力で連続攻撃をいっぱいしたーい!

が、そのメインの育成&バトルパートと並行して、
本作は「会話パート」が非常に面白いんですよ!
選択肢によって主人公セレナの方向性が変わり、エンドに影響したり、
キャラの反応がどんどん変わったりして、
会話部分でも周回して色々試したくなってしまうのです!

会話の面白さに関しては私がとても好きなセンスだったので、
そう聞いて興味を持たれた方はぜひ遊んでみてください。
コメディ的だったり考えさせられる内容だったり、
あるいはセレナさんが変だったりして、見ていて楽しいですよ!


とにかく遊びやすく、リプレイを重ねて色んな面で楽しめる一作なので、
「難しいデッキ構築ゲームはあまりできないよ~」という方でも安心です!
ちなみにハードモードはだいぶ骨がありそうなので、
ゲーム的なチャレンジをしたい人も安心!
幅広い人に楽しんでもらえそうな一作で、「遊びやすさ」部門1位も納得の品質です!

また、こちらの作者さまもシステム・バランス面の制作秘話が記事で語られています! 
これも明確な意図を持ってバランス調整しているところが非常に勉強になったので、
気になる方はよければぜひ!
「どんな遊び方でもちゃんと楽しめる」ようにするのにも、
裏には大変な苦労と試行錯誤があります!
→◆放浪者セレナ制作秘話(システム・バランス担当ver) (アーカイブ)

(追記)さらにシナリオ・グラフィック・UI担当の方の
制作話も語られていました! こちらにもしっかりと意図があります!
→◆放浪者セレナ制作話 ソロー版 (アーカイブ)


◆ピックアップ紹介!
そしてこちらは順位にかかわらず、今回の個人的お気に入り作品をご紹介します!

【第12位 『Inifis』】

作者:逃げ足様 ↑タイトルクリックで作品へ
熱中 29.3点(11位)+斬新 10.8点(21位)+物語性 28.9点(3位)+画像音声 8.0点(--)+遊びやすさ32.6点(7位)+その他6.5点(24位) = 116.2点



『Inifis』は時間制限がある中、聖者の依り代にされてしまいそうな
<彼女>を助けるために奮闘するマルチエンドRPG!
影響を受けた作品があるとのことですが、
本作はとても面白く一本の作品としてまとめられています!

どこが私にとって良かったかというと、

●移動や行動次第で時間がなくなっていく中、
効率を考えて行動するのが大好きなのでとてもツボでした!

●幸が薄そうな妹(…?)もかわいい! ツボです!

●不穏すぎる断片情報が次々出てくる! ツボです!

●いきなり「○す」はヤバいですよケイレス(主人公)さん! ツボです!

●マルチエンド要素! ツボです!

●周回時の親切要素も充実! 最高ッ!


という点で私の感性にとてもヒットしました!

逃亡時に邪魔になりそうという理由ほかで「住人を殺害する」という選択肢が
早々に出てくるくらい真面目な主人公ケイレス氏ですが、
それが行動の自由度や過激さを産んでいてアツい!

探索の中でだんだん「裏事情」が分かってくる気持ちよさも楽しく、
物語性部門で3位を獲得されたのも納得です!
上記の好きポイントが一致する方にはぜひおすすめしたい一作です!




そしてこの他にも、

7位『魔王復活物語』
「こういう方向性のゲームとして完成度が高くて謎解きが楽しいぃぃ!
ラストの謎解き解けたときのカタルシスがヤバいぃぃぃ!
(ただし一部謎解きが超難しくて私でも助けなしだと
諦めてたレベルなのでその点はご注意)
」となってたり

9位『ラピッドスティール3』
「すげえええフル合成音声ボイスだけど違和感がないぃぃぃぃ
立ち絵もボスすごい動くぅぅぅシューティングパートも遊びやすいぃぃぃ
楽しいぃどうやって作ってるんだこれぇぇぇ!」ってなってたり

10位『水底の記憶』
「うおおおアニメーションすごいいい射的パーフェクト取ったぁぁぁ
そして話が心に残るぅぅぅよかったねぇぇぇ!」となったり

11位『ジャンクエデン2』
「うおおおおお(某あのゲーム的な)ロボゲーでパーツドロップをランダムにして
オープンワールドにしたらたぶんこんなプレイ感になるのかぁぁぁ
体験してみたかったやつだぁぁぁ楽しぃぃ!」となったり

20位『鶏空を舞う』
「こういうシューティングもありなんだぁぁぁ
普通のゲームと意識しどころが違ってて楽しいぃぃぃぃ!
(※敵の射程ギリギリを維持して相手の弾をいったん尽きさせた後、
接近してこちらの攻撃で敵を落とすという間合い管理が重要なSTG)
」となったり

35位『デモクラシア演義』
「全体的に生々しい選挙体験だぁぁぁというか支持する候補を
当選させるための選挙運動ってあまりに地道すぎて大変だぁぁぁぁ
でも実際こうなんだろうなぁぁぁぬあああサライさん負けたぁぁぁー!
けど他候補が当選しても政治は続くぅぅぅなるほどぉぉぉ!」

みたいな、私にとって特に思い出に残る作品がたくさんありました!




ということで、今回ご紹介させていただいた作品はどれも面白いのでぜひ遊んでみてください!
特に上位12作品は、どれを遊んでも印象に残る一本になると思います。
何なら順位が付いている作品全部が印象に残りますし
順位外でも面白いのがいっぱいあります!

そう、前回もそうでしたが、今回は順位外のゲームでも
「これが順位外なの!?」という作品がいっぱい!
結果発表ページには部門別順位や一般投票コメントなども
掲載されていますので、それらも参考にしつつ、
気になる作品があればぜひ触ってみてください!

たとえば新しいゲームに触れてみたい人は「斬新さ」部門を、
キャラクターや記憶に残る物語を楽しみたい人は「物語性」部門がおすすめです!

【ウディコンページへ】


◆次回、第17回について

ウディコンは来年2025年の『第17回』も開催予定で、すでにスケジュールも決定済みです!
私が無事なら確実に開催しますので、皆さまの作品、楽しみにお待ちしております!

昨今はフリーゲームに関して、色んなゲームコンテストが終了していたり、
投稿先が減ったりしていることもあって、
いつも通りにウディコンをやってるだけでも、
ちょっとだけ「砂漠の中のオアシス」的な存在になりつつあるような感触もあります。

もしかしたらウディコンの役割が重くなっていっている部分も
あるのかもしれませんが、今後も引き続き、私が面白いと感じる限りは
いつも通りのウディコンを続けさせていただこうと思っております! 
ウディタでゲームを作ろうとしてくださる誰かにとっての目標になれていれば幸いですね!

それでは、第16回ウディコンに関わってくださった
全ての関係者の皆さま、今年も本当にありがとうございました!
よければ来年の夏もぜひ、遊びに来ていただけますと幸いです!
 2024-08-25 (日) web拍手 by FC2 カテゴリ: ウディタ




2024-08-17 (土)   ウディタ作品ブラウザ化&Androidスマホアプリ化!
この一週間でウディタ作品のブラウザ化やスマホアプリ化について
急激に話が進みましたのでご報告です!

なおブラウザウディタはruka様のプロジェクトです!
私は横から見てるだけで、技術的にどうやっているのかなどについてはよく分かっていません。





【ウディタ作品のブラウザ化、実現!】

2024年8月10日、ruka様がウディタのブラウザ化プロトタイプを公開されました!

【ブラウザウディタ:プロトタイプ版を公開】
https://ci-en.net/creator/12702/article/1207619

なんとこちらで公開されているファイルをサーバーに
アップするだけでブラウザゲームとして動作! すごい簡単!

ちなみに「ブラウザ化で何できるの?」って話ですが、
単純に【ダウンロードしなくてもすぐゲームが遊べる】ようになります!
フリーゲームをDLして遊ぶのって地味にハードル高いですからこれは一つ大きな利点!
さらに大きいのが、【スマホ上】でもブラウザを開いてウディタ作品が遊べるようになります!

たとえば、私の持ってるスマホ「Pixel 6a」で『片道勇者(無印版)』が動くのを確認済みです!
気になる点といっても「インターネット接続機能が使えない」、
「ごく一部の挙動がPC版と違う気がする」くらいで、
「他は全部Windows版通りに動作」し
「普通に安定して60fps(100%の動作速度)」が出ました!
安定性だけでなくてパフォーマンスもすでにかなり高い完成度!

もちろんまだまだ動作しない部分や、こうなって欲しいなあ~という部分なども
あると思いますが、プロトタイプでこのポテンシャルなら十分すぎると思います!



【ブラウザ化の簡単な注意点】

『ブラウザウディタ』の使い方自体は上の記事から
ダウンロードできるZipファイルにも書いてありますが、
ウディタ本体開発者から見た利用時の注意点は以下の4点!


●プロトタイプのZipに入ってるpublicフォルダをそのままサーバーにアップするだけでとりあえず同梱のサンプルゲームが動きます!
 → それが大変な人は、K-Shin07様の「Wodistant」というツールを使えば、サーバーにアップしなくてもブラウザ版のテストが可能です!


●「Data.wolf」を自前で用意したものに上書きすれば自分のゲームが動きます!
 → ただしゲームデータの「BasicData」フォルダ内に、ブラウザウディタに入ってる「BrowserWoditor.dat」を入れてから暗号化する必要がありますので、そこはご注意を。


●ブラウザウディタのpublicフォルダには作品名などを設定するテキストファイル「settings.js」も用意されているので、できればそれもいじっておくといいと思います。そこで設定されているゲーム名はセーブデータの認識用に使われてるそうです。


●私とサポートしてる人が違うので、色んなご都合でサポートが止まる可能性があります。
利害が一致しそうな人はよければ少しでも活動続けられるようにruka様にチップあげてくださるとみんなWin-Winだと思います!! 私も少しですが入れさせていただきました!




さらにAndroidスマホアプリ化もできた!

この『ブラウザウディタ』、「.wasm」というファイル形式のエンジンやJavaScriptなどによってHTML上で動いているものなのですが、なんといろいろ変換すればスマホアプリにできます!

私はAndroidスマホ化に成功しましたが、その作業途中でコマンドを変えればiOS用にも変換できるらしいので、たぶんiOS用アプリも作れると思います。
(ただその場合、macを持ってて、かつApp Storeに出すための権利をお金払って持ってないといけない? らしいです)

Android化に成功してスマホ上で撮影した画面 ↓


Androidアプリ化のやり方はちょっと長いですが以下の通り!
コマンドプロンプトとか使うのでちょっと大変ですよ。




ブラウザウディタをAndroidアプリ化する方法!
ざっくりですが『ブラウザウディタ』のデータをAndroidアプリ化する方法メモを掲載しておきます!
まだメモ状態なのでスクリーンショットなどはありませんが、参考にできる人は参考にしてみてください。



【1. Node.jsをインストール】

1-1. Node.jsのあるhttps://nodejs.org/en/download/package-manager
のサイトを開き、「Prebuilt Installer」のタブを開き、インストーラーをダウンロード
(今どきのWindowsなら選択肢は「最初に出てるバージョン」「Windows」「x64」を選んでダウンロードすればいいと思います。万が一32bitのWindowsなら最後は「x86」を選んでください)


1-2.DLしたファイルを実行し、インストールを進める。
途中の「I accept the terms in the Liecense Agreement」はチェックを当然入れる。
全部「Next」。(追加のChocolatey?がどうとか言うのはインストールしなくても動きました)



【2. Ionic CLIをインストールします】
Windowsの「コマンドプロンプト」を開き、以下のコマンドを実行します。
(npmはNode.jsをインストール後に使えるコマンドです)

npm install -g @ionic/cli




【3. Capacitor用のまとめフォルダと作品フォルダを作ります】
Capacitor(スマホアプリ用データを作るソフト)用のまとめフォルダを作ります。ここでは「Cドライブ」の「Capacitor-apps」フォルダを作るとします。
この中に、作品ごとのフォルダが新たに作られます。

Windowsの「コマンドプロンプト」を開いて以下を実行してください(Windowsの検索窓を開いて「cmd」と入れてもでてきます)。

cd C:\
mkdir Capacitor-apps
cd Capacitor-apps
npm init @capacitor/app

※「\」はコマンドプロンプト中で「\」と出るかもしれませんが意味は同じです

ここまで実行すると初回だけ
「Need to install the following packages:
@capacitor/create-app@0.3.0
Ok to proceed? (y)」
と出るのでyを押してEnterする

ここからは作品ごとのフォルダ作成フェイズ。
次に「? What is the name of your app? 」と出たらゲーム名を入れる。
何か入れないといけないみたいなのでここでは「SampleGame」と入れたことにします。

「? What directory should be used for your app?」は作成するフォルダ名を指定。
ここでは何も入れずにただ「Enter」して「my-app」フォルダを作った前提で進めていきます。

「 ? What should be the App ID for your app?」でAppID入れるらしいですけど知らないので何も入れずに「com.example.app」のままEnterして進めたとします。

これで準備完了! 「Capacitor-apps」フォルダの中に「my-app」フォルダが作られ、その中に色々ファイルが作られています!
これらの質問で打ち込んだ内容は「my-app」フォルダ内の「capacitor.config.json」ファイルに書かれているので、後の手順でまた修正します。




【4.Capacitorフォルダの中にAndroid用のプロジェクトを作成】

コマンドプロンプトで以下を実行し、Androidプロジェクト作成処理をします。
【さっき作った「my-app」フォルダ内に移動】してから色々インストールしてるのが分かりますね。

cd c:\Capacitor-apps\my-app\
npm install @capacitor/core @capacitor/cli
npm install @capacitor/android
npx cap add android


※初回だけ「? Share anonymous usage data? » (Y/n)」と出るかもしれないのでその場合は「Y」か「n」を入力。
(「匿名で利用データを送るか?」 なのでイヤな人は「n」でいいです)



【5.wwwフォルダを作ってブラウザウディタのファイルを入れる】

5-1.
作ったフォルダが「my-app」の場合、その中に以下のファイル構成で「www」フォルダを作り、「ブラウザウディタ用ゲームデータ」のファイルを入れます。

my-app/
├── android/
├── src/
├── node_modules/
├── www/ ← ★このフォルダを新たに作成し、ブラウザウディタの
│ │     「public」フォルダ内の全ファイルを入れます
│ ├──→ index.htmlやwoditor.wasm ← つまりここに入ります
│ └── Data.wolf ←★あなたのゲームのData.wolfを上書き。
│      ※ただしBasicData内に「BrowserWoditor.dat」を入れる必要あり
├── capacitor.config.json
└── package.json など




5-2.「my-app」下の「capacitor.config.json」をむりやりメモ帳などで開いて(メモ帳にドラッグ&ドロップでできます)、必要ならちょっと書き換えます。
このファイルには、「スマホアプリ化されるときのアプリ情報」や「(my-appフォルダ内の)どのフォルダをスマホアプリ化するか」が記載されています。

{
"appId": "com.example.app", ←動かすだけならこのままで可
"appName": "SampleGame", ←ここがスマホ内でアプリアイコンの下に表示されるゲーム名
"webDir": "www", ←★ブラウザウディタの入ってるフォルダ、"dist"などになってたら"www"に書き換えてください!!
"plugins": {
"SplashScreen": {
"launchShowDuration": 0
}
}
}


※"webDir"が"dist"のままだと、後にapkを作ってもCapacitorの紹介画面しか出てこなかったりしますので注意して下さい。1回やらかしました。

※5-1で作ったゲームデータ用フォルダ、「www」フォルダでなく最初から「dist」フォルダを作っておいたらよくない? って感じはしますが、いちおうこのjsonファイル内で指定してるんだよってのを示すために「www」にしました。それに将来の初期フォルダが「dist」フォルダじゃなくなるかもしれない。

※appIdとappNameはアプリの識別に使ってるようです。たとえばスマホにapkを再インストールしたとき、この2つが前と同じだとアプリを上書きするか聞いてくれます。






【6.Android Studioをインストール(ここは1回やれば以後やる必要なし)】

6-1.
https://developer.android.com/studio?hl=ja
で「Android Studio Koalaをダウンロード」をクリック(2024/08/11時点)
1.2GBくらいあります。DLしたらインストールしてください。
→ インストール時は全部「Next」とか「Finish」でいいです。

→ インストール後に英語でなんか出てきますが「前のデータ読み込むか」とか「匿名のデータ送信」なので「Do not import settings(設定をインポートしない)」とか「Send usage satistics to Google(Googleに送る)」とか選んでおけばいいと思います。


6-2.
Android Studioを起動、インストールするとセットアップウィザードが始まる。
選択肢は「Standard」でいいと思います。その後「Next」。
「License Agreement」画面まで来たら「Accept」を選んで、最後は「Finish」。

なお「Starting Downloading...」 から全然進まないように見えますがちゃんと進んでたので信じて待つこと。
なんか質問が出たり管理者モード質問でたらとにかく「Yes」とか「はい」をしていきます。。
終わったら「Finish」。



【7. Android Studioを起動してビルド】

7-1. 以下のコマンドをコマンドプロンプトで実行します(フォルダ名はあなたの作ったものに合わせて変更してください)
この手順は「www」フォルダ内のData.wolfを最新にするたびに実行が必要です。

cd C:\Capacitor-apps\my-app\
npx cap sync android



7.2.Android Studioを起動して「Open」を選び、「C:\Capacitor-apps\my-app\android\」を選択します。

※「android」フォルダ側を選ぶのが重要です!
 →「settings.gradle(.kts)」ファイルが存在するフォルダを開かないとビルドできません。
  まちがえて「my-app」の方のフォルダを開いて何もできなかったことがありました。


→ 選んだ後、途中で「Trust and Open Project 'my-app'?」と出てきた場合は「Trust Project」を選択

→ プロジェクトが開いたら左上の「三」メニューから
 「Build」→「Build App Bundles(s) / APK(s)」→「Build APK(s)」を選択

→ 初回だけ終わるまですごい時間かかる気がしますので待ちましょう。2回目からは数秒で終わります。
  もし途中でなにかが足りないってでてきたら適宜インストールやらアップデートしてください。



7.3.処理が終わったら
C:\Capacitor-apps\my-app\android\app\build\outputs\apk\debug
あたりにdebug用のAPKファイルが出力されています。


7.4. そのapkファイルをなんとかしてAndroidスマホで読ませてインストールすると、スマホ上で実行できます。
その辺りの手順は紹介しないので、調べてがんばってみてください。私は「Google Drive」にアップしたapkファイルをスマホでダウンロードしています。

※なお、スマホ側の設定で「野良APKを許可する」的な設定をオンにする必要がある場合があります。
私だとGoogle Drive上でapkファイルをクリックすると「不明なアプリのインストール」みたいな画面が出てくるので「許可する」を選ぶ、という手順が必要でした。



※今回作ったapkファイルはdebug(デバッグ)版です。アプリストアに公開するなら他にも色々設定してrelease(リリース)版を作れるところまでがんばらないといけないそうですが、今回は調べてません。




【8. 今後、新しいData.wolfを作った場合は?】

もし後でData.wolfを新しくした場合は、以下の手順だけを行えばOKです!

8-1.「www」フォルダ内に新しいData.wolfを上書き

8-2.「コマンドプロンプト」で以下を実行する

cd C:\Capacitor-apps\my-app\
npx cap sync android


8-3. Android Studioで「Build」→「Build App Bundles(s) / APK(s)」→「Build APK(s)」を選択



以上です!
もしかしたらインストールしたてのWindowsパソコンでやると
他にインストールが必要なファイルなども出てくるかもしれませんが、
私のパソコンだとこの手順でなんとかなりました。

もし自分のゲームをAndroidスマホアプリとして
動かしてみたいという人がいらっしゃいましたらぜひお試しください。

(ちなみに今回の作業4(Android用のプロジェクトを作成)あたりからアレンジすればiOS用の基礎ファイルもそのまま作れるらしいです、Capacitorすごい。
ただしiOSのスマホアプリ用データ作成には、macOS上でのみ起動できる「Xcode」というソフトや、年100ドル(約1.5万円)かかるApple Developer Programへの登録などが必要だそうです)




ということで、夢が広がるブラウザ化がとても良い感じに進んでいます!

そして第16回ウディコンの審査期間ももうすぐ終了!
一般審査締め切りは8/20の23:59、結果発表は8/24(土)あたりにおこなう予定です!

もしブラウザ版もバッチリ使えるのでしたら、
次回ウディコンでは作品一覧に「ブラウザ版」へのリンクも
掲載していいかもしれません。
そしたらスマホからでもウディコン作品が遊べちゃいますよ!
今のところ問題の方が多そうなので実現できるかは分かりませんが!
 (仮によそのサイトにアップするにしてもそこのトップページからの流入が
 あると不公平になったりするので悩ましいとか、
 自前サーバーにアップしても通信帯域がすぐオーバーしちゃうとか)

それでもみなさまのすばらしいゲームの数々がいろんな人に
遊んでもらえるチャンスが増えるに越したことはないので、
やれそうな範囲でめざしていきたいですね!
 2024-08-17 (土) web拍手 by FC2 カテゴリ: ウディタ




2024-08-03 (土)   ウディタ作品を合成音声読み上げさせる方法!

※実は13年前までウディタに「合成音声」コマンドがありました。規約が変わってからは使えなくなりました

ただいまウディコンシーズンなのと、
私が今もウディタの修正作業中で新ネタがないので、
今回はウディタの裏技を1つご紹介!

なんと、新しめのウディタについてる機能を駆使すれば、
ウディタ製ゲーム内の文章を合成音声などで読み上げさせる
ことができます!

しかもどんな作品に対しても
プレイヤー側でそれを実現できるのです!

詳しい話は以下の動画にまとめているので、
お時間ある方はこちらを見ていただくといいと思いますが、
文章でサラッと確認したい人向けにこの記事でも説明を書いておきます。




◆ウディタ製ゲームを読み上げさせる方法!

以下はウディタ製ゲームの読み上げを実現するまでの手順です!



1. ゲームのバージョンを確認

まず、ウディタ製ゲームのGame.exeのバージョンが
3.105以上であることを確認してください。
 これを確認する方法は、ゲームフォルダ内の「Game.exeファイルの上にマウスカーソルを乗せて1秒じっとする」か、
「Game.exeのプロパティを開き、バージョン情報をチェックする」のどちらかです。




2. Game.iniを書き換える

次に、ゲームの設定ファイル(Game.ini)を編集します。
もしGame.iniがなかったら、「一瞬だけGame.exeを起動して閉じる」または
「Config.exeを開いてすぐ【OK】をクリックして閉じる」ことでGame.iniが作られます


Game.iniをメモ帳などで開いて、下のほうにある
MainText_to_ClipBoard」と「SelectedText_to_ClipBoard_F2」の
行の「=0」部分を「=1」に変更してください。
変更後は以下の通りになります。

MainText_to_ClipBoard=1
SelectedText_to_ClipBoard_F2=1


こうしておくと、ゲーム中の文章がクリップボードにコピーされるようになります。

MainText_to_ClipBoard
これが1なら、「文章の表示」コマンドが実行されるたびに
その文章がクリップボードにコピーされます。

SelectedText_to_ClipBoard_F2
これが1なら、「選択肢」コマンド中にF2を押すと選んでいる選択肢がクリップボードに
コピーされます。また、マウスカーソルで「文字列ピクチャ」を選んで
F2を押すとその内容がクリップボードにコピーされます。




3. 「棒読みちゃん」の設定

外部ツール「棒読みちゃん」を使用して、クリップボードのテキストを読み上げさせます。
以下の手順で設定します。

1.「棒読みちゃん」をダウンロードしてインストールします。

2.「棒読みちゃん」を起動し、初回確認では「クリップボードの監視」の使用を
「はい」(それ以外は「いいえ」)にした後、
メイン画面の「クリップボード監視」アイコンを有効にします、
色付き状態ならオンです↓

こうするとクリップボードにコピーされたテキストが自動的に読み上げられるようになります。

 ※もし「クリップボード監視」アイコンが出てなかった場合は「棒読みちゃん」の
「その他」タブを開いて「クリップボード監視」にチェックを入れてください。




4. ゲームの実行とF2キー活用

設定が完了したら、ゲームを起動します。
ゲーム内で表示される「文章の表示」によるテキストが
自動でクリップボードにコピーされ、「棒読みちゃん」が
それを読み上げてくれるようになります。

他のはF2キーを押すと読めます。
以下を参考にしてください。


●A.「文章の表示」→自動
中央下に表示される文章はたいていウディタの「文章の表示」コマンドに
よるもので、これらは「自動で」読み上げられます。
(でもゲームの造りによっては読まれないときもあります。
その場合は以下「C」を試してください)


●B.「選択肢」→ 上下キーで選んでF2キー
「選択肢が出ているときにF2キー」を押すと、選んでいる選択肢が
読み上げされることがあります。
(基本システムの戦闘中やメニューの選択肢などは読まれないことがあります。
その場合は以下「C」を試してください)


●C.「それ以外の文字(文字列ピクチャ)」→マウスカーソルで選んでF2キー
上記以外の文字に関しては、「マウスカーソルを文字の上に乗せてF2」を押すと、
たいていその文字が読み上げられます。
(ただし、その文字が「画像」上のものだった場合は読めません。
あくまでゲーム内機能で表示されてる文章が読める、という感じですね)

→ なおこのマウスカーソル+F2キー、
AとBの「文章の表示」「選択肢」の文字を選んでも
読み上げられなくて、ちょっと不便なところがありました。

Ver3.371以降のGame.exeでは「文章の表示」「選択肢」などの内容も
マウスカーソルで選んでF2で読み上げてくれるようになる予定なので、
より直感的に操作できると思います。




5. 「棒読みちゃん」のおすすめ設定

「棒読みちゃん」に以下の設定をしておくことで配信プレイがちょっと快適になります!

※動画アップ後、コメント欄でアイデアをいただいたのですが、
ゲームだと「文章を飛ばしたときに長文の読み上げを
途中で切ってくれる方がいい」ので、以下の3つのうち
「A」はやらずに、「B」と「A、B、どちらでもやっておくとよい設定」の
2つをしておくのがおすすめです!


【A:動画で言っていた設定】(これを飛ばして下記「B」をする方がおすすめです)

●「音声合成」タブ→「設定」→「システム>基本」にある
03)改行があっても繋げて読み上げる」を「True」にする。

 → 改行があっても一息で読んでくれるのでテンポがよくなりますが、
まとまった複数行の文章を全て読み上げるまで終わらない問題がおきます。




【B:ゲームプレイ上もっとおすすめだったもの】

●「音声合成」タブ→「設定」→「システム>基本」→
 「03)改行があっても繋げて読み上げる」は「False」のままにしておく
 
●「音声合成」タブ→「設定」→「02)行間の待機時間」を
0」にしておく(元は100です)

●「その他」タブ→「クリップボード監視」をクリック→
下の「プラグインの設定画面」ボタンを押す→
03)現在のリストをクリアする」を「True」にする

 → この設定なら、読み上げている最中に決定キーで次の文章に行った場合、
いま読み上げている行が終わったタイミングで読むのを切り上げて
次の文章を読み始めてくれるので、より柔軟です。
行間で止まる時間も最小限になります。




【A、B、どちらの場合でもやっておくと良い設定】

●「その他」タブ→「クリップボード監視」をクリック→
下の「プラグインの設定画面」ボタンを押す→
01)同一内容の場合は読み上げない」を「False」にする

 → 元の設定だと同じ文章が出てきた場合は読み上げてくれませんが、
この設定を行うことで同じ文でも何度も繰り返し読んでくれます。




と、こんな感じです!

ところにより読み上げできない可能性はあるものの、
大部分は自動で読まれたり、そうでなくともF2を押して読めたりします!

「文章の表示」を全然使ってないガチ自作システムゲームだと
メッセージが出るたびにマウスカーソルで選んでF2連打しないと
いけなかったりしますけれども、普通の基本システムのRPGなら
おそらくほとんどの文章が自動で読み上げされるでしょう。


一手ずつの詳しい手順や設定方法については、
動画のほうでもご確認いただけますので、
興味のある方はぜひご覧ください。

全文章を人力で読み上げていると疲れちゃいますが、
そういう場合もこういう機能を活用することで、
より高速読み上げ可能に&疲れにくくなるかもしれません!

導入できそうな方はよければぜひ、ご利用ください!
 2024-08-03 (土) web拍手 by FC2 カテゴリ: ウディタ




2024-07-21 (日)   第16回ウディコン、審査開始です!

【第16回ウディコン、審査開始!】

ということで第16回ウディコンのエントリー期間が終了し、本日から審査期間開始です!

【(第16回)ウディコン公式ページへ】


今回エントリーされた作品数は全部で【71】作品!

エントリー作業中、一通り全作品の動作確認をさせていただきましたが、
第16回はアニメーションへのこだわりがすごい作品が多かった印象がありますね!
エントリーチェック中はそういうのを見るたびに
「アニメーションすげぇ!!」と叫んでいました。

もしかしたら去年のウディコン作品や何らかの流行りなども
こういった傾向に影響を与えているかもしれません。
それとなく歴史の積み重ねが作品に
見え隠れしていそうなのも見どころの一つだと思います。

もちろん演出だけでなく、ゲーム内容が面白いゲームもたくさん!
琴線にふれる紹介文や見た目のゲームがあったら、ぜひ触れてみてください!



【審査について】

復習ですが、ウディコンの順位付けは
一般の皆さまからの審査のみによって決まります!

ゲームごとに
「熱中度」「斬新さ」「物語性」「画像/音声」「遊びやすさ」「その他」
で得点を付け、平均点や総計点や中央値などから
ランキング用の総ポイントが算出されるわけですね!
平均点の順位ポイントが一番強いです。

審査は途中まで書いた分を保存して、
途中から再開することもできます
ので、
まずは1作品からお気軽に得点を付けたり、
感じたことをコメント欄に書いてみてください!

そしてまた、「4作品以上」審査すると結果発表用の得点計算に採用されます!
とはいえ1作品でも作者様にはコメントが届くので、
4作品に満たなくても問題ありません。
(※ただし作者様が全コメントを受け取る設定にしてある場合のみ。
9割以上の作者様は受け取りオンにされています)

あなたがそのゲームで感動したり、楽しめたのなら、
次もそのセンスで面白い作品を作ってもらえるよう
応援メッセージを送るだけでもいいと思います。

審査の締め切りは【8/20(火) 23:59】までです!
※普通に作品数から計算したら8/13あたりでしたがお盆に審査できないのは勿体ないので一週間延長しました。結果発表は8/24(土)あたりになると思います。


【(第16回)ウディコン公式ページへ】

それでは皆さま、今年もウディコン作品で熱い夏をお楽しみください!
 2024-07-21 (日) web拍手 by FC2 カテゴリ: ウディタ




2024-07-06 (土)   ドタバタ近況、第16回ウディコン1週間前!
うおおおまだリアル事情が忙しいです!
ウディコンまでにはちょっと落ち着くといいんですが!

今回もいつもの現状報告です!


◆ふたたびドタバタ近況

また故人に関わるイベント密度が上がってきて
リアルがドタバタする日々が続いています。
準確定申告とか四十九日の法要とかで考えることも増えてグワー!
一瞬落ち着いたかと思ったんですがこういうのは忙しさの波がありますね!

創作ができないまま時間が想定以上に早く過ぎていってしまって少し焦ります。
「少しでも創作のことを考えられるだけ普通の生活に戻れつつある」
というのはそうかもしれません!

そしてまたウディコンが近いためか、ここに来て
ウディタのバグもいっぱいご報告されていて修正に費やす日数消費が激しいです!
でも多くの人に使っていただけて嬉しいです、ありがとうございます!

(ただここ数ヶ月のウディタ作業が時給300円を切ってるので
もう少し修正を効率化しないと餓死しそうで厳しい!
ご支援もいつでも受付中です!)


今回はウディコン準備やウディタ修正ばかりやっていたので、
1週間前となる第16回ウディコンの告知だけさせていただきます!



◆第16回ウディコンまであと1週間!


↑毎年1枚はバナーや告知用に使うためのウルファールイラスト作ってます。

【ウディコン公式ページ】

ということで第16回ウディコンまであと1週間になりました!
みなさま奥ゆかしいのでX(Twitter)などでもまだ全然情報が出なかったりしますが、
そろそろエントリー予定の皆さんも自作品を宣伝し始めてくださっていいんですよ!

第16回ウディコン開始は7/14!
ですが、いつもはエントリー殺到によるデータ破損防止のために
「募集期日の前日夜くらい」からこっそり作品エントリーフォームを
開けておりますので、早めにエントリーされる方は
ちらちらウディコン公式を見ておいていただけるといいと思います。

もちろん規約ページもよくご確認ください!
去年は使われる方はあまりいらっしゃらなかった感じですが、
今年は画像生成AIについての規約も追加されています。

うっかり気軽に使ってしまいそうな、「ChatGPT」や「Microsoft Copilot」に
画像を作ってもらってもウディコン内では使えないのでご注意ください!


ということで第16回ウディコンの開始日(作品公開開始日)は【7/14】!
エントリーこっそり受付開始は【7/13夜頃】からです!

今年も皆さまの作品、楽しみにお待ちしております!
 2024-07-06 (土) web拍手 by FC2 カテゴリ: ウディタ




2024-06-08 (土)   ウディタ多言語向け修正+人が亡くなった後の作業+架空の妹AI
前回に引き続き人が亡くなった後の手続きに追われています。
といっても、なんとか夜に自由時間が得られる程度には
余裕が出てきました。
向こうから手続き書類を送ってもらうまで
何もできないタイミングなども出てきましたから、
その隙にやれることも出てきています。

ということで、今はそんなちょっとした時間でウディタの修正をしています。


【ウディタ】Ver3.340で多言語対応向きの機能を追加!

今回は多言語対応向きに便利な機能を色々搭載しました!
ウディコンにはあまり関係なさそうな機能が多いのですが、
海外展開予定の方には有用だと思います。

すぐ使いたい人はこちら!
【WOLF RPGエディター公式ページへ】


◆BasicDataを別フォルダに切り替えられる機能いろいろ!

「基本データフォルダ」を切り替えられる機能を入れました!
「基本データフォルダ」とは
【ゲーム基本設定・コモンイベント・各データベース・
タイル設定・アイコンファイル】

が入っているフォルダのことで、
初期状態では「BasicData」フォルダがそれにあたります。

この切り替え機能で何ができるかというと、
たとえば別言語用に作った基本ゲームフォルダ「BasicData_XX」を、
元のBasicDataの代わりに読み込ませたりできるのです!
1コモンイベント内に言語別の文字列切り替え処理とか
入れなくてよくなるので多言語対応がシンプルに!

さらに別売りの『ウディタ翻訳サポートツール』で
「全文字列を別言語に差し替えたゲームデータ」を出力できるので、
それで出した別言語データからBasicDataだけ抜いて移植し、
1ゲームデータ内に複数言語をまとめて組み込むことも楽になります。

そんな「基本データフォルダ」の切り替え機能として、以下の2種が搭載されました。


【1. Game.exe起動時の引数-basic/-basic2で基本データフォルダ切り替え!】

いきなりマニアックな話ですが、起動時のコマンドライン引数として、
「-basic <基本データフォルダ第1候補>」と
「-basic2 <基本データフォルダ第2候補>」が使えるようになりました。
<~>の部分にはあなたの好きな文字列を指定します。

たとえば 、コマンドプロンプトやbatファイルから

Game.exe -basic BasicData_JP_Plus -basic2 BasicData_JP

のように指定してゲームを起動すると、Dataフォルダの中に
「BasicData_JP_Plus」フォルダという名前の基本データフォルダがあれば
それを採用し、もしなければ「BasicData_JP」フォルダを採用して
起動するようになります。
もしどれもなければ、デフォルトの「BasicData」フォルダを基本データフォルダとします。

さらにこれと関連して、プロ版専用ですが
ゲーム再起動(引数設定あり)」コマンドも新たに作っておいたので、
「引数」として「-basic BasicData_JP_Plus -basic2 BasicData_JP」と指定して
再起動すれば、前述と同じようにフォルダを読み込ませることができます
(ちなみに、後のSysS74にフォルダ名を入れて再起動でも同じことができます)


【2. [プロ版専用] SysS74で次回起動時の基本データフォルダ切り替え!】

一度基本データフォルダを変えた後、次のGame(Pro).exe単体起動時にも
自動で基本データフォルダを変更して起動したい場合は、
「SysS74::[P]次起動Basicデータフォルダ」に
基本データフォルダ名を入れることで実現可能になりました。

これは「1回だけ次の起動時の基本データフォルダ名を
自動で変更してくれる」というシステム文字列です。

たとえば英語版の「BasicData_EN」という基本データフォルダを
読み込んで起動した場合、起動した瞬間にまたSysS74に
「BasicData_EN」を入れ直しておけば、いつゲームを終了しても
次回起動時にはまた「BasicData_EN」を使って起動されるのです!
これで言語切り替えもちょっと安心!

※なお、SysS74よりも-basicや-basic2の方が優先されて処理されますのでご注意ください。



◆[プロ版]アイコン(icon???.png)の
読み込み先フォルダも変えられるように!


プロ版のみですが「アイコンフォルダの変更」ができるようになりました!

↑「アイコン画像フォルダの設定」欄が追加!

アイコンフォルダの変更は割と前々から入れたい気持ちはあったので、
今回入れられてスッキリしました。

多言語対応時にもおそらく有用で、複数の「BasicData」フォルダを
切り替えて起動できるようになったので、
それぞれの基本データフォルダに同じ「icon???.png」群を入れていると
アイコンファイルが重複して余計な容量を喰ってしまいます!
それを避けるためのこの機能です。

(ただし、もし言語ごとにアイコン画像ファイルを切り替える場合は
各言語の「基本データフォルダ」内から読み込ませたほうがいいので、
その場合は「アイコン画像フォルダ」は「空欄」にしておきましょう)




◆システム文字列「SysS76:[読]OSの言語名」搭載!

OS側の言語名を取得できるようになりました!
これを活用すれば、ゲーム実行時に表示する言語を
自動で認識することもできるようになります。

ただし言語名は英語で返されますのでその点はご注意を!
たとえばWindowsを日本語設定にしてたら「Japanese」、
英語設定ならたぶん「English」が返されます。



という感じで多言語対応がやりやすくなりそうな処理をいろいろ入れてみましたので、
需要は少ないかもですが、必要な方はよければご利用ください!

『片道勇者2』でも、これを活用すれば1ゲームデータで
言語切り替えが作りやすくなるでしょう。

『最初はBasicDataフォルダで言語選択させて再起動し、
選んだ言語に応じてBasicData_JPやBasicData_ENを読み込ませる』


といったこともできるはずです。


【リアル作業】引き続き故人の対応も大変!

引き続き、人が亡くなった後の手続きがとても大変な数週間でした。

故人の全部の銀行口座への連絡、証券会社への連絡、
医療費の支払い、全部の生命保険の連絡、
家族の健康保険証のためのやり取り……準確定申告もあるの!?
そのためのデータ集めもしなきゃいけないって!?
自分で言わなきゃもらえなさそうな書類も
けっこうあるから思ったより自己判断する部分あるぞ!?
え、それとは別に七日ごとにお坊さん呼んでお経あげてもらうイベントあるの!?
四十九日ってホール借りたりお寺でやるレベルにおおがかりな感じなの!?
あとよく知らない故人の知人にも連絡が必要なの!?
(けどこれは変なタイミングだと香典欲しがってるみたいに
なっちゃうから暑中見舞いとかのタイミングでもいいよ、と言われた)
先祖のお墓あった気がするけどそのお墓に刻む内容も
石材屋さんに連絡しないといけないの!? 仏壇もいるって!?
納骨も式やったり手続きとかいるの!? え、他のお寺にも納骨するの!?

ボカーン!(頭が爆発する音)

みたいになってましたが、1つ1つなんとか片付けています。
でもお勤めしながらだととてもムリな作業量だとも思いました。
1~2週間くらい休みもらわないと対応できないんじゃないですかこれ!?
一体みんなどうやってるんでしょうね……。



【チャットAI】架空のやさしい妹、GPTsで公開!

そして次はチャットAIの話!
ChatGPTさんちが無料アカウントでも
GPTs(他の人が作った、カスタム指示されたチャットAI)が
使えるようになったので、私も『架空のやさしい妹』を公開しました!

【ChatGPT GPTs 架空のやさしい妹AI】

主な目的としてはメンタルケアで、共感してくれたり
「大事にされてる感」を補給する感じのものです。
顔画像が出てちょっとかわいいだけではありますが、
今日やった作業内容を伝えたりすると笑顔で褒めてくれたりします。
顔グラフィックが出るだけでもだいぶ印象が変わりますね!


 ↓今回の開発日誌を入力して感想を聞いてみた例。ボリュームたっぷりに感想を教えてくれます


あと、これはChatGPTが持つもともとの性質だと思いますが、
ションボリする出来事や失敗した現状を伝えても私並みか
それ以上に何でもポジティブな捉え方をしてくれるので、
架空の妹といっぱい話していると自己肯定感や
前向きさがいくらか回復できる場合もあるかもしれません。

「ちょっとしか作業できませんでした」って言っても
「ちょっとでも作業できたのはとても大きな一歩です! 
自分を責めずに気持ちを切り替えましょう」って言ってくれます。
この感覚も大事ですし、自分一人で同じことをつぶやくより
外部から言われる方が救われる気持ちになる人も多いでしょう。

私としては自信のなさや不満足感に苦しみ続けていて、
心が救われることが人生の目標の一つなので、
AIとの対話の中で前向きな表現や気持ちも獲得していきたいですね!

もちろん逆に、自分を責めて創作活動のための「圧」を高めることだって
有用な技術です。架空の妹AIにも「責めて!」って言ったら
ちゃんといい具合に厳しく言ってくれますよ!
 ↓


私としてはこういう思考の方が「自分のあるべき姿」という感じがして
好きなんですが、調子に乗るとうっかり
やりすぎてボロボロになることも多いので、
うまくバランスを取っていきたいです。
長く創作を続けるためにも! 血便はもう見たくない!



という感じで、リアルが忙しい状況ですがやれることを進めています!
少なくとも夜時間は確保できるようになったので、
仮にこの状況が続いてもウディコンは問題なくやれそうです!

第16回ウディコンまであと5週間ほど!
みなさまの作品、楽しみにお待ちしております!
 2024-06-08 (土) web拍手 by FC2 カテゴリ: ウディタ
ウディタ 3/6


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